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guerrilla loveさん観測所です。主に戸塚祥太さんの舞台の観劇記録を書いています。

舞台『フォーティンブラス2022』観劇記録

観劇日

・6月4日(夜)@東京 自由劇場

・6月19日(夜)@大阪 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

・6月20日(大阪千秋楽)@同上

・6月30日(大千秋楽)@愛知 穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール

www.fortinbras2022.com

2021年上演のものの再演です。キャストもほぼ同じ顔ぶれが再集結とのこと。私は前回の公演は観ていないので、今回が初観劇でした。

昨年と異なるのは、東京以外にも大阪・愛知の地方公演もあること。キャパを調べると、東京(500席)<愛知(796席)<大阪(1905席)とばらつきアリ。会場によって見え方・感じ方違うのかもな~とその部分でもめっちゃ楽しみでした。

てかまずもうメインビジュアルが大優勝すぎる…公開された瞬間、即スマホの待受けに設定して、公演期間中はずっとそれでした。最高すぎる。

戸塚祥太が内博貴につかみかかる「フォーティンブラス」ビジュアル解禁 - ステージナタリー

 

あらすじ

お馴染みの名作『ハムレット』が華やかに上演されている、とある古ぼけた劇場。その楽屋で、売れない役者・羽沢武年が、上演中だというのにヒマしている。彼の役は、ノルウェーの若き王子、フォーティンブラス。

役名は勇ましいが、最初の出番は、芝居が始まって約2時間15分後。それもただ舞台を通り過ぎるだけ。二番目の出番は全ての物語が決着を見た後。のこのこ登場し、最後のまとめをするだけの、いわば「刺身のツマ」。

その上ハムレット役の大スターは、横暴で、陰険で、勝手に芝居を変えるわ、若い女優に手を出そうとするわとタチの悪いことこの上ない。武年ばかりでなく、オズリック役で恵子の恋人である岸川和馬やオフィーリアに抜擢されたバラエティタレント刈谷ひろみさえも、そんな大スターに嫌気が差し、楽屋には一触即発の不穏な 空気が流れている。

そんなある夜、芝居のはねた劇場に、突然不気味な亡霊が姿を現す。亡霊は、自らを「フォーティンブラスの父」だと名乗り、そして武年に向かって言った。

“我が息子フォーティンブラスよ。さあ、今こそその汚れ亡き高潔な血を熱くたぎらせ剣を抜け。
そしてその剣に、ハムレットへの復讐を誓うのだ!!”


その言葉にとまどいながらも武年は、亡霊にハムレットへの、そして大スターへの復讐を誓うのだった。

しかし劇場付きの老女優、松村玉代は、亡霊の姿を見て驚いた。この男は、「フォーティンブラスの父」なんかじゃない。昔、玉代が一緒に芝居をしていた俳優の岸川和春……すなわち、オズリック役の岸川和馬の死んだ父親の亡霊だ……しかし何故今頃、和馬の父が亡霊となって、思い出の詰まったこの劇場に……??

果たして武年の復讐の行方は?

そして亡霊が寄せる、この舞台に対する想いとは?

www.fortinbras2022.com

 

 

拍手のSEとともに幕が上がると、上演されているのは舞台『フォーティンブラス』の中の『ハムレット』。所謂劇中劇のシーンから始まる。

この作品で興味深いのは作品自体の構造だと思います。まず、”俳優が俳優を演じている”、さらに劇中劇が挿入されることで二重三重に折り重なって作品が成り立っているところ。つまり、”戸塚祥太演じる羽沢武年が演じるフォーティンブラス”であって、厳密に言うと戸塚祥太がフォーティンブラスを演じているわけではないところがおもしろいな~!と思った。

(逆に戸塚くんがフォーティンブラスを演じたらどうなるんだろう?っていう気持ちになった!たぶん出番めっちゃ少なくても羽沢みたいに腐ったりはしなさそう笑)

基本的に舞台裏や楽屋がメインのシーンとなるので、舞台の表側というより裏側を描いた作品です。

内くん演じる黒沢の暴君ぶりを表現するために、若い女優を性的に支配するシーンもあるのですが、演劇界(芸能界)におけるハラスメントの話はとてもセンシティブで、最近だとA.B.C-Zがかつて主演したドラマにも関係していたこともあり(本人たちはマジで全く関係ないのに!)、いろんな思いを巡らせてしまった。

(大阪千秋楽と愛知大千秋楽で太田垣が監督の実名出したの大丈夫か!?ってはなったw アドリブだったと思うし、たぶんワンモアのことは知らずに言ったんだろうけどヒヤリとしてしまった)

 

また、面白いのが、戸塚くんは台詞も出演シーンも多いので、間違いなく主演ではあるんだけど、この作品における”主役ではない"というところ。

スポットライトすら当たらない場面も随所に見られて、そこが面白いところだなあと。

私の解釈では主に2つのテーマがあると感じていて、ひとつは"父と子の物語"。こちらがメインテーマじゃないかな。

作中の岸川父子、フォーティンブラスの父子、そして作中では言及されてはいませんが劇中劇である『ハムレット』自体も亡き先王ハムレットハムレット王子、父子の物語です。

羽沢(戸塚くん)の父親の描写もありますが、劇中では一言だけ「俺の親父なら今頃〇〇(公演会場により土地名が変わる)でパチンコしてるよぉ!」という羽沢の台詞のみに登場していることから、羽沢父子は物語のテーマにはあてはまらない。("フォーティンブラスの父"も同じく『ハムレット』の台詞の中のみに出てくる、という対比がまた面白い)

ふたつめは"脇役(端役)の物語"。そもそもこの舞台のタイトルであるフォーティンブラスという人物の役柄は、舞台『ハムレット』の脇役ですから。劇中劇の『ハムレット』では主役の黒沢正美(内くん)も、この作品においては脇役に過ぎないんですよね。メインビジュアル張ってる2人が、実は父と子の物語における脇役でしかないってめっちゃおもろい。

でもテーマのひとつになっていると考えると、脇役のみんなも主役と言えるのかな?単純なようで複雑な構造になっているのがすごく興味深く感じました。

そんな中でも戸塚くんは座長として舵はしっかりと握っていて、羽沢の言動で物語が大きく動く瞬間がグッと来ました。(そこがスローモーションで表現されているのも憎い演出!と私は膝を打ちましたね…たぶんポスターのメインビジュアルってこのシーンの布石なのかな)

まあそのあと作中で実際に空気を変えるのは別の人(梅宮さん)なんですけどね…あくまで脇役の域から出ない羽沢くん、、、、、

 

 

私は全部で4公演観ましたが、最後まで"なぜ岸川父は亡霊となってまでこの舞台に現れたのか?"についてはずっと考え込んでしまいました。

結局岸川父は最後の最後まで"フォーティンブラスの父"という役として存在していた。途中「私は誰だ?」とわからなくなっても、主役ハムレットをやると言い張る横暴な俳優になっても、他の作品のセリフを吐いても、フォーティンブラスの父役を降りることは終ぞなかったし、ボロボロの衣装を脱ぐこともしなかった。

ここからは私の想像に過ぎないけど、岸川和春は父親としてはほとんど"生きてなかった"のかも知れないなあ、と。家庭を顧みず、芝居に没頭していたので、この世への心残りは主役を張ることはなかった舞台の上にのみあって、役を降りての実生活、衣装を脱いだ岸川和春としては、残してきた息子(和馬)や妻に対しての心残りや後悔なんてなかったのかもなあと。(何なら俳優人生の大半を共に費やした玉代に対しても)

それでも、最後にフォーティンブラスの父として、妻(玉代)にかけた言葉は、意図せずとも岸川和春のものだったのかなあ〜とか。知らんけど…

話は少しズレるけど、私の好きな俳優さんが、「自分は与えられる役の器であり、影のような存在でしかない」と言っていたことがあって、岸川父も同じように感じて生きていたのかも知れないなあと思いました。

私がいちばん印象に残っている台詞があって、それはフォーティンブラスの父(岸川和春)が、息子フォーティンブラス(羽沢)に言った、「その者がよく生きたかどうかは、何を成したかではない、どう生きたかなのだ 己の納得のいく生き方を全うできたのであればそれは誇り高く胸を張れることなのだ」というような台詞。

その言葉通りに岸川父が生きられていたとしたならば、やはり亡霊となってしまってまで現れるほどの遺恨が舞台や俳優という生き方には残らないってことになるよね。

でも誰に騙されたわけでも謀られたわけでもなく、役者として正々堂々と戦い、主役を担うことは叶わないまま脇役俳優に終わってしまった、父親らしいことなんて何もしていない父親でも、役柄のまま、役柄の言葉を借りてだったら結果的に息子の力になれたのだから、何とも皮肉なもんだなあ…

 

 

 

"人は皆役者"。

私も、私という役を今日も精一杯生きよう、と思えるとてもエネルギッシュな舞台でした。

東京公演は途中中止になってしまったけれど、大阪・愛知の地方公演は完走できたこと、このご時世においては奇跡みたいなもんだと思います。この作品に、舞台に出会えて良かったです。戸塚くん、ここまで連れてきてくれてありがとー!

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⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

 

以下は各観劇公演の変更部分記録です。私が感じた会場の雰囲気の違い、アドリブやハプニング含むレポのようなものを書き残しておきます。

 

【6月4日東京夜公演】

自由劇場は帝国劇場をもっとミニマムにした感じだな〜という印象。昔ながらの小劇場って感じで、フォーティンブラスの上演にいちばんぴったりだと思った。すごく素敵な会場。

座席は二階の前方で、せり出しの座席だったので位置的には一階席でいうと真ん中辺り?距離はそう感じなかったので双眼鏡使わず観劇。上から見下ろす感じだった。

 

・羽沢くんのデートプラン「スタバに行ってメロンのフラペチーノを飲む」

羽沢「フラペ、ッチーノ、飲みに行こう!」と明らかに言い慣れてない感じで言ってて可愛かった。

・羽沢「はい、父上♡」胸の前に両手でハートを作る

・信さんと刈谷ちゃんとのダンス「仮面舞踏会/少年隊」

・信さんの日替わりアングラアドリブで膝を床にぶつけてしまった信さんに

羽沢「膝大丈夫ですか(半笑い)」

ハムレットになる前「コメディオブ鬼滅の刃

刈谷ちゃんは禰󠄀豆子役、信さんは善逸役、玉代は鬼舞辻無惨役でのオファー。

・カーテンコールの曲「とっとこハム太郎

・梅宮さんの歌「谷村新司(曲名忘れた…昴かな…)」

・戸塚くん、何箇所かセリフを噛んでしまい、何回か言い直ししていた(意図せずとも小物感が出ていた笑)

 

【6月19日大阪夜公演】

梅田芸術劇場は今回の会場でいちばんキャパの大きな会場。すごく立派な会場だった…

4列目での観劇。近すぎて演者の飛沫まで見えたが、逆に近すぎて死角もあった。黒沢のバスローブがジバンシイなのを肉眼で確認。

 

・羽沢くんデートプラン「カットモデルに応募して、一緒の髪型にする」

信さん以外の人(羽沢くんや観客含め)が「なんやそれwww」となってて面白かった

・羽沢「はい父上♡」指ハート

・信さんと刈谷ちゃんとのダンス「Danceでバコーン!C-ute

戸塚くんがハロプロ楽曲踊るの見れるなんてレアすぎてめっちゃ興奮した

ハムレットになる前「コメディオブ世界のアーティスト」

刈谷ちゃんは五木ひろし役、信さんはジャクソン5役、玉代はマイケルジャクソン役でのオファー。

信さん「(玉代と)兄弟役だったのにねえ」

・カーテンコールの曲「おジャ魔女どれみ

演出家代理役の皆川が歴代のおジャ魔女どれみシリーズのタイトルを早口言葉みたいにぶわーっと羅列して観客席から拍手が起きる

・梅宮さんの歌「ボヘミアンラプソディ/Queen

・戸塚くん、セリフを噛んで言えなかった部分があったが、所謂コメディパートのところだったから叫んで誤魔化して、観客の笑いを誘っていた

・幕が降りるとき、戸塚くんが100%の笑顔で両手でバンザーイ!ってしてた

 

【6月20日大阪公演】

一般でA席を買ったので、ほんとにいちばん後ろの席だった。ただ、梅田芸術劇場の座席が傾斜のゆるやかなほとんどフラットに近い感じだったので、後ろの方だと目線が舞台上と同じくらいになってすごく観やすかった。

ただ距離はあったのでココ!というポイントは双眼鏡を使った。もう2回観てるのでどこで双眼鏡使うかも完璧だった。

 

・羽沢くんデートプラン「スタバに行って旬のフラペチーノ、今だったらメロンのやつ、を飲む」

・信さんと刈谷ちゃんとのダンス「ガラスの十代/光GENJI

ハムレットになる前「コメディオブゲゲゲの鬼太郎

刈谷ちゃんは子泣き爺役、信さんは一旦木綿と鼠小僧の二役、玉代砂かけ婆役でのオファー。

・カーテンコールの曲「とっとこハム太郎

・梅宮さんの歌「We are the champions/Queen

・大阪千秋楽だったのでカーテンコールで挨拶あり。

戸塚「大阪といえば内博貴内博貴といえば大阪!凱旋公演の意味もありますからね」

内「僕もお客さんと同じですよ、袖でめっちゃ笑ってるんです。袖で笑って、舞台で暴れる、っていう…笑」

戸塚「ここにいる皆さんもキャストですから!」

内「あとで楽屋でLINE交換しよ」

戸塚「LINEグループ作りますか!…ってイヤイヤ笑」

内くんの肩を抱いたり、ノリツッコミしたりととっても仲の良い様子が伺えてほっこり。

 

戸塚「大阪で頂いたパワーを持って、次の名古屋…愛知公演に行きますので!お友達とか…その…ねっ!誘って頂いて…(ちょっと言い淀んで)もうみんな来ちゃえばいいですよ!(何かを諦めたらしいw)」

豊橋を名古屋と言ってしまったの可愛かった笑 気持ちめっちゃわかる

愛知公演も来てねでいいのに、ご時世を考えてなのか、遠征費かかるとかチケット代とかそういうのを考えてのことなのか、はっきり来てねって言わない戸塚くん…らぶ、、、、

・幕が降りるとき、右手を胸に当てて満足そうな微笑みを浮かべる戸塚くん。

 

【6月30日愛知公演】

駅直結の綺麗な会場!座席もコンパクトで観やすい。一般で買った席だったので後ろから2列目。念願の下手だったので観たいシーンが目の前で(双眼鏡補正アリ)観られて大満足。

 

・羽沢くんデートプラン「H&Mに行って、古着を売ってサスティナブル野郎ぶる」

・羽沢「はい、父上♡」ギャルピ

・不真面目フォーちゃんアイメイク、左目のみに黒のアイシャドウで囲うメイク。

(噂には聞いていたが、クレイジーアイメイク回に初めて遭遇!)

・信さんと刈谷ちゃんとのダンス「頑張れ、友よ!/A.B.C-Z

信さん「Twitter開設っ」合いの手。(ありがとうございます!)

ハムレットになる前「コメディオブハリーポッター

刈谷ちゃんはハグリッド役、信さんはロンウィーズリー役、玉代はヴォルデモート役でのオファー。

刈谷ちゃんのハグリッド役、逆に観てえわ

・カーテンコールの曲「とっとこハム太郎

個人的にはおジャ魔女どれみver.がもっかい見たかった…!笑

・梅宮さんの歌「We are the champions/Queen

・大千秋楽ということでカーテンコールでご挨拶あり。劇中ではダニエルによる役者紹介が全員分行われませんでしたが、ここではステージ上の俳優さん全員が紹介されました(この展開、めっちゃ胸熱!)。

1人1人紹介される度に、「フウッ!」「ヨッ!」などとおっさんみたいな合いの手を入れる戸塚くん笑

どさくさに紛れて歳上の俳優さんにも下の名前呼び捨てで合いの手入れててウケた笑 共演者さんたちとの仲の良さが伺えて良かった。

いざ自分の番になると顔を両手で覆って恥ずかしそうに前に出てくる戸塚くんがちょーーーー可愛かった!

 

戸塚「この作品、お客さんもかなり集中力使うと思います。疲れたと思います。みなさんも、キャストです!キャストの一員として、僕たちから、拍手を贈らせてください!」

〜キャストのみなさんが客席に向かって拍手をしてくださる〜

(私、泣いちゃう泣)

その後、客席からも自然と拍手が起こり、拍手をし合う私たち。こんなんラブ&ピースじゃん…

 

戸塚「拍手が鳴り止まないので…(内くんに挨拶を促す)」

内「僕ですか!?じゃあ…この場を借りて、みなさんにお詫びしたいことが…ステージ上での罵詈雑言、本当、すみませんでした!(岸川役の桑野さんに向かって)殴ったりして、ごめんなあ!普段はあんなんせえへんねんで?明日からは、愛に生きる内博貴でいきます!(胸の前でハート♡)」

戸塚「演劇の長い歴史の中では、この作品はほんのちょっと、ほんのちょっとのことなんでしょうけれど、僕たちの、みなさんの、心の中にはしっかりと刻み込まれたと思います。演劇の神様が、降りてきてくれましたよ!本当に、ありがとうございました!」

最後の一言まで、噛み締めるようにしっかりはっきり戸塚くんが伝えてくれた。めっちゃglだった!

幕が降りるとき、戸塚くんの背中を労うようにポンポンと叩いた内くんを、戸塚くんがそのままグッとハグしたのたまらなかったなあ。熱い!