あなたは夢、あなたは光

guerrilla loveさん観測所です。主に戸塚祥太さんの舞台の観劇記録を書いています。

舞台『BACKBEAT2023』観劇記録

観劇日

4月23日(プレビュー公演) @ 東京 江戸川区総合文化センター

5月2日(夜) @ 兵庫 兵庫県立芸術文化センター

5月3日(昼) @ 兵庫(楽)

5月6日@ 熊本 市民会館シアーズホーム夢ホール

5月7日 @ 熊本(楽)

5月20日 @ 大阪 枚方市総合文化芸術センター

5月31日(昼) @ 東京 東京建物Brillia HALL

5月31日(大千穐楽) @ 東京


今回も上演する全会場で観劇することができました…!バンドの生演奏があるということもあって、会場毎に音の鳴り方・拡がり方や感じ方が全然違ってすごく面白かったです。

音質の良さとしては、

池袋<江戸川=熊本<枚方<兵庫

って感じかなあ。(ど素人の感覚ですが)個人的な好みで言うと枚方の会場の音がめっちゃ好きだった。前評判のめちゃくちゃ悪かった悪名高いブリリアホールも、言われてたほどではなくて、演出家さんや音響担当さんの相当な努力を感じました。(ありがとうございました)

公式で、地方公演ではなく"ツアー"って表現を使っているのがすごく良いよね。実際ライブツアーだったしなあ。東京のプレビュー公演から始まって、地方を回り、東京に戻ってくるっていうスケジュールもすごくいい。全会場制覇したいおたくとしては大変だったけど(正直者)。

観客の反応(拍手、手拍子)も演出のピースのひとつであり、特に2幕の冒頭ではSEもなく、参加型なのも良い。客電点いた状態で始まるから、本当にアンコールの拍手で彼らが出てきたみたいになる。上演を重ねる毎に拍手が大きくなっていくのが分かったし、観劇するこちら側の熱も上がっているのを肌で感じられたのもすごく良かったです。

あらすじ

1960年、イギリス・リヴァプール
絵の才能を持つスチュアート・サトクリフ戸塚祥太)は、同じ学校に通う親友ジョン・レノン加藤和樹)に誘われ、ロックバンドにベーシストとして加入する。スチュアート、ジョン、ジョージ・ハリスン辰巳雄大)、ポール・マッカートニー(JUON)、ピート・ベスト(上口耕平)ら5人の“ビートルズ”は、巡業で訪れたドイツ・ハンブルクの地で頭角を現してゆく。

とある夜、スチュアートは彼らのライブに来ていた女性写真家のアストリッド・キルヒヘア(アストリッド・キルヒヘル)(愛加あゆ)と運命的な出会いをし、二人は恋に落ちる。スチュアートはアストリッドとの出会いをきっかけに再び絵を描き始め画家の道を志すが、ビートルズは魅力的なナンバーを次々に打ち出し、評判は日に日に高まってゆく―――。

(公式サイトより引用)

ステージ全体を金色の額縁が囲んでいる素敵なセット。このセット、初めて見た時からもう大好きだった。ステージセット見ただけで「これ絶対好きなやつ〜」って私の中の長田さんが歌いたくなるやつ。(は???)

 


冒頭、戸塚くん演じるスチュが中央の大きなキャンバスに向かって絵を描く印象的なシーンから始まる。

荒い息遣いで身体全体を使って大担に塗ったり、絵の具まみれの手で細かいところに筆を入れたり…ふいに登場したキャストのみんなに見守られながら、スチュが絵の具をバケツみたいなもので派手にぶち撒けた瞬間、レコードに針を落とすみたいにして、"That'll be the Day"が流れ始め、鏡に向かってリーゼントをキメるジョン、ポール、ピート、ジョージが合流し、物語が走り始める。

 


何度めかの観劇後、「これは、スチュが描いた絵みたいなものなのかも知れない」と思った。上手く言えないけど…

初期ビートルズの5人や、アストリッドやクラウス、カールを始めとする悪友たち、女の子たち、クラブのオーナー、プロデューサー、マネージャーのエピーさん、リンゴ…みんなキャンバスから飛び出してきて物語を紡ぎ、爆音で音楽を掻き鳴らし、青春や友情や夢や恋や悲しみや希望、そして観客の熱狂を全部抱えてキャンバスへと戻っていく。まさにアートと音楽の融合だと思った。スチュが愛し、悩み、手放したものと手に入れたものたち。

 


ビートルズは世代ではないけれど(私の父くらいがガッツリ世代なのかな?)、曲は良く知っているし、メンバーも分かるバンドってめっちゃすごいよね。未だにメディアでもBGMとかで曲使われたりしてるし。

ただ、この作品を観て私がこれまで抱いていたビートルズの印象がガラリと変わりました。特にジョン・レノンって勝手に穏やかなイメージだったんだけど、あんな荒くれ者だったなんて…まじ????ってなった笑 

マッシュルームカットで揃いのスーツ。そんなイメージが定着する前は、後のことなんかちっとも気にしない青くさいガキで、バカでかい音楽を鳴らし、怒ったようにシャウトし、ドラッグ!セックス!ロックンロール!って感じだったんだなあ。

ジョンは皮肉屋で言葉遣いが強くて荒いのでちょっと分かりにくいんだけど、繊細なんだなと思った。あと愛が重い笑 ブラックジョークや下ネタで誤魔化すようなところがあって、強い言葉で自分を守ってるような印象でした。スチュが死んだ時も、酷い言葉やその場にそぐわないきつい冗談で、スチュを永遠に失った悲しみを必死で誤魔化そうとしていた姿が痛々しくて、普通に泣かれるよりも数倍辛かったです。

とにかく加藤和樹さん演じるジョンがとても魅力的で、バンドのフロントマンとしても、この作品の舵取り役としても圧倒的な存在感で、毎回圧巻でした。スチュにスポットを当てた話ではあるんだけど、この作品をドライブしているのは確実に加藤さんだと思う。私が観劇した8回とも、加藤さんのセリフの間の取り方、表情、仕草、声色、抑揚の付け方…全て違ってました。たぶん全公演変えてきてる。意識して変えてる感じではなさそうなので、本当にその場その場で加藤さんの中のジョンが発言しているんだと思う。役を生きる以上のことが毎公演起こってた。本当にすごいことだよ…

 


ビートルズといえば?ジョン・レノンポール・マッカートニー、という公式を世代でない私も知っている。この2人の関係性も丁寧に描かれていた。

"Twist and Shout"をアコギでラテンに歌うポールの演奏を止めて、ワイルドにアレンジするジョンとか、"Please Please Me"を2人で作るシーンとか。ポールのセリフからも、こんなふうなやり取りをしながら学生時代、休み時間や空いた時間に2人で曲を作ってきたんだなあと微笑ましくなる。ベルトさんにジョンが突っかかった時も、ポールは即座に「こいつは必ず伺います、と言ってるんです!」と翻訳したくらい、ジョンの天邪鬼なところを完全に理解していたんだと思う。

ジョンがポールに「俺がお前のことを嫌いだな〜と思う瞬間を教えてやろうか?正しいことを言いやがる時だよ!」と言い放つシーンもあるように、ジョンはポールとはスチュのようにウマが合うというわけではないけど、音楽的なセンスとかノリみたいなところはとても合うんだろうなと思う。そしてその合致がビートルズをここまでの世界的なバンドに押し上げたんだとも思う。

ポールが「あいつ(スチュ)は下手くそだ、あいつが良かったことなんか一度もない!」と言っていたように、ベースプレイヤーとしてのスチュは本当に素人レベルだったんだろうなと思うけど、ポールが嫉妬していたということは、ベースの上手い下手とかじゃなくて、それよりもジョンが偏愛的に肩入れするスチュの持つ"何か"がバンドに作用していることを知っていたんじゃないかなと思う。そしてベースを自らが担当することで音楽的には確実に格段に良くなるが、同時にその"何か"を失うのもよく分かっていたんじゃないかなあ。そう考えたら、スチュの死後のレコーディングで「スチュのように演る。あいつは本当のロックを知っていたから」のセリフも理解できる。

その"何か"はジョンの「ポールがベースになって、音が締まって良い感じになった。けどスチュがいた時のスピリットがなくなった」というセリフと、スチュの「お前が俺を素晴らしい人間だと言うのは、ベースを弾いているからじゃない、自分らしくいるからだ。絵を描き、芸術に激しい感情を抱いている、そしてアストリッドに恋をしている」というセリフから、"上手い下手とかどうでも良い、自分らしく生きてロックンロールしている"ってことなのかなあと思った。ただ、それは音楽性を高め、プロとして上にあがっていくためには切り捨てなければいけなかった。

JUONさんのポールはチャーミングでお茶目で、すごく素敵だったな。ギターやベースはもちろんのこと、ハスキーボイスもかなり良い。加藤さんのラジオで、JUONさんはポールを演じるにあたり、右弾きから左弾きに変える練習をしての参加だったけど、本国の舞台では普通にポール役は右弾きしてたらしいので、ポールをきちんと左弾きで演じた初の人だそうです。えぐすぎ!元々ギターを弾けない人だったら、最初から左弾きで学べばいいけど、なまじ弾けるからそれを左弾きに無理やり変えるのは相当な努力だとおっしゃってました。ダンスも元々不得意で、ダンスレッスンもかなり苦労されたみたいです。「ずるいよね、あの3人(戸塚・辰巳・上口)は4秒で覚えるじゃない!」って言っててめっちゃ笑ったw (上口さんはダンサーでもあるのこの時初めて知った)舞台の演奏中も、さすがミュージシャンだな、と思わせるような客の乗せ方とか煽り方をしていてカッコ良かったです。

 


この作品にはセリフの伏線回収みたいなものが結構あって、複数回観劇する中でも気付きがあって興味深かったです。(もっとあるのかも知れないけど覚えてるやつだけ書いておく)

 


・ピート「リンゴ、っていうドラマーがいいぜ」

・ポール「お前が辞めたらレパートリーに入れさせてもらうよ(パティ・ペイジの"Doggie In The Window")」

・ピート「認めないぞ!バンドから追い出すなんて!」

・ピート「俺たちは成功する。ここぞって時にちゃんと答えを出せるから」

・スチュ「あいつは偉大な船長みたいなところがあってね、こう言うんだ。"自分の行くべき道を見つけたら進んでタラップを降りろ"」

・スチュ「俺の頭の中は描きたいもので爆発しそうなんだ。この痛みを止めるには描くしかない」

 


え、いや待って。ほぼこの2人じゃん…ビートルズから去った2人じゃん…今気付いた…

ピート脱退に関する明確なセリフや描写は少ないから、脱退を告げられた時めっちゃ驚いたんだけど、伏線は張ってあったんだなあ。

 


個人的にはピートがいちばん泣けた。(何ならスチュが死んだときより泣いた)辞め方が理不尽すぎる。あのピートの心情を思うと泣けてくるよ…叫ぶような魂のバスドラが響いたわあ…

たしかにキャスト見たとき思ったんだよね。私が知ってるビートルズのドラムはリンゴスターなので、スチュのことも知らなかったけど、ピートのことも知らなかった。ピートも何かしらあるのかな?とは思っていたが、あんなフェードアウトの仕方なんて…あんまりやん、、、「5人めのビートルズ=スチュ」だと思ってたんだけど、「5人目のビートルズ=スチュとピート」だったのかも知れないなあ。だとしてもあまりにも悲しいけどね…スチュにスポットが当たってるから仕方ない部分なんだろうけど、ピートぉ泣

プロデューサーの意向もあるけど他の3人もピートの脱退を望んでいたなんて、そんな素振り一切なかったじゃんかよお!と思ってたんだけど、数回観るうちにジョンとポールが"Please Please Me"を作っていた反対側で、セリフはないけどジョージとピートが言い争っている?ジョージがピートにキレてる?みたいなシーンがあるのに気づいて、もしかして元を辿ればこれがピート脱退の原因なの?となった。この作品って意味のないシーンってたぶん一切なくて、全ての演出・シーンに意味がある作品だと思うので、あれがピート脱退の伏線だったのかも知れないな…

あとはピートの独白のシーンもキーなのかも。ちょっと他の4人を下に見てるところがあるというか…「自分は他の4人とは違う」と傲っているようにも見えた。ピートの言葉を借りると"自尊心"が高すぎたのかも知れないね。(でも1人だけドラッグの誘いに乗らなかったり、常識人なんだよ泣 ピートぉ泣)

上口さんもめちゃくちゃ素敵だった。何を隠そう私はピート推しなんですけど(そうですか)、声がすごくいい。ちょっと高めでスッと通る声!上口さんのセリフの一言め、「ピート・ベスト!」って自己紹介するシーンから好きだったな。一曲だけだけど、歌も聴けて嬉しかった〜しかもあれ原曲"Doggie In The Window"は女性シンガーの曲なんですね。邦題"ワン・ワン・ワルツ"だった笑 カワイ〜!笑

 


ジョージとピートの仲違いのシーン含め、メインで進むストーリーと同時進行で、サイドで繰り広げられているいくつかのシーンは結構重要な気がする。

スチュがアストリッドの元へ通うシーンでは、ポールがベルトさんに直談判で曲を聴いてもらっているし(それが同時にスチュのアストリッドへの恋のはじまりを表現している。"A Taste Of Honey")

 


スチュがアストリッドにヘアカットをしてもらっている時、悪友カールがポールにギターを教わっていたり(それが自然なBGMになっててめっちゃいい)、その反対側ではクラウスがスケッチブックに何かを描きとめている。このシーンが始まる直前、クラウスは上着を脱いでスケッチブックを取り出すのだけど、センターでスチュがアストリッドにノーカラージャケットを着せてもらうのと同時にクラウスも上着を着るんだよ…この対比に気付いた時めっちゃ鳥肌立っちゃった…クラウスぅ泣 クラウスも切ないよね。

その後ビートルズのカラーとは違うスタイルでステージに立とうとするスチュを非難する他メンバーを横目に「いいじゃん」とスチュに耳打ちしたり、頑なに"Love Me Tender"の演奏を拒むメンバーに演奏を促したり、クラウス…いい奴すぎんだろ…泣 そいつ君の大事な恋人奪ったんやで…泣

私が好きなシーンの1つに、強制送還後、ビートルズが再びハンブルクに帰ってきて一発目のライブをするシーンで、スチュが客席にクラウスを見つけてやあ!ってするところがあって。(これ毎回スチュの反応が違っていてめちゃくちゃ好きだったんだよね)あんなことがあったのにスチュとクラウスの関係が良好なのは、クラウスの寛大な性格によるんだろうな…あとシンプルにビートルズが本当に大好きなんだろうね。クラウスってめっちゃいいオタク。

 


ジョージ、圧倒的末っ子感がすごかった。ほんっとに可愛かった。台詞の一言めから可愛かったし、荒々しい言葉とかもあんまり使わない印象で、ジョンとスチュの喧嘩の仲裁に入ったり、後半もぶつかるジョンとポールの熱を冷ます存在というか、ビートルズの良心って感じだった。だけどひとたび演奏を始めるとパフォーマンスが派手でパワフルで華があって、目を惹く存在だったなあと思う。

強制送還でリバプールに帰る時、ジョンなんかカバン1つしか持ってないのに、ジョージ1人だけ両肩モリモリに5・6個荷物持たされてんのは笑ったwww 誰か持ってあげなよwww 自分の年齢のせいでみんなが強制送還になってしまったからなのか、めちゃくちゃしょんぼりジョージで愛おしかった笑

カテコの辰巳くんもでっかいわんこか小学生みたいで、多方面にブンブン手振っててすごい可愛かった…ジョージ同様、辰巳くん自身もキャストのみんなにすごく愛されてるのがカテコでとてもよくわかりました。

辰巳くんはギターとかバンドとか音楽活動は続けないんだろうか…この作品だけにしてはあまりにも勿体なさすぎる。

 

 

 

スチュに関してはキーワードとして「光と闇」があるんじゃないかと思っている。

最初に光を見せてくれたのはアストリッドで、火遊びではなく"恋"という光を見せてくれたという意味合いもあるけど、スチュがハンブルクに来た当初の家(バンビ・キノ)には窓がなく、一日中演奏していたインドラクラブも地下にあり、暗闇の中で生きている彼を気遣って、光が綺麗なエルベ川で2人で写真を撮る誘いをする。

あんなに仲の良かったジョンとスチュの道が明確に分かれたのもこの時で、印象的に照明が使われていました。レコーディングへ行こうと言うジョンに背を向けてアストリッドの元へ向かうスチュを照らす光が横一直線で、ジョンが"Ain't She Sweet"をソロで歌い上げたあと、「どこにいるんだよ、お前は?」と言ってスタンドマイクを引き摺りながら去る時は縦一直線の光。ふたつの光は重ねると交わっているが、同じ方向は向いていない。

個人的に興味深いな、と思ったのは、1幕では"画家であるスチュ"がどちらかというと光に属していて(アストリッドの「絵描きには光が必要よ」といったセリフや、画家として学校の先生や画商たちに期待されている描写がある)、地下のキャバレーで演奏している"ロックミュージシャンであるスチュ"はどちらかというと闇に属しているのに、2幕ではビートルズの人気の上昇とともに逆転しているところ。

2幕の灯台のシーンで、スチュが「光…闇…光…闇…ただの繰り返しじゃない、いつも違うものを見せてくれる…」と言うセリフのあと、2人にアートカレッジに合格したことを告げますが、アトリエにこもる画家である自分(闇)と人気バンドのベーシストである自分(光)、どちらも同じくらいとても愛していて譲れないこと、に長い長い時間をかけて折り合いをつけ、画家として生きることを決め、ジョンと決別したシーンには胸が熱くなりました。

ハンブルクに渡り、本格的にバンド活動を始める前は、自分の描いたものに「主張を感じる」と言われても、「どんな主張?」と聞き返していたり、己の作品についてジョンに意見を求めるなど、傑作だと自分では思っているけど、客観視して言語化できず、よく分かっていない部分があったのかも。それが晩年になると自身の絵について詳細な説明をすることができている。「画家じゃなく詩人のようだ」と揶揄されても、絵画を言葉で説明することの難しさをきちんと言語化している。音楽活動を通じて、知らず知らずのうちに自己形成をしていったのではないか?と思う。ロックンロールは今や芸術になり、低俗な芸術と言われることもあるけど、見せてくれる世界はどちらも違っていてどちらも素晴らしいもの。そのどちらもに身を置いていたスチュは長い時間をかけて悩むほど、選び取るのが難しかったんだと思う。ビートルズの人気が出ないままだったら、もしかしたらここまで悩むことはなかったのかも知れないけど…画家であるスチュ自身にも、"架け橋であるビートルズ"は必要だったんだろうと思う。

 


ラストシーン。セリフは一切なく、スチュが黒い上着をジョンに手渡し、いつものシガーキスでタバコに火をつけ、歓声の中、煙を燻らせながら肩を組んでキャンバスに消えていく…

セリフがないので、観る人の解釈に委ねられるラストシーンですが、きっとスチュはジョンを迎えに来てくれたんだなあ…と私は思いました。そしてあっちでは、また2人でたくさん悪さしてバカやって笑いあってて欲しいなって思う。

 

 

 

…で。毎回号泣の感動舞台なのですが、ここでは終わらないのが舞台BACKBEAT

カーテンコールでは毎公演、観客総立ち、大盛り上がりの生演奏ライブパフォーマンス(しかも選曲は日替わり!)で終わります。役を脱いだキャストのみなさんの心から楽しそうな演奏に、上演中は着席で手拍子のみだった観客も立ち上がってノリノリになる!なので、さっきまで泣いていても、会場を出る頃には笑顔になっているという最高の舞台…湿っぽくならずに終えられてほんと…ロックンロールって最高ですね…となる。

 

 

 

 


前回戸塚くんのお芝居を観たのは年末のジャニーズ伝説だったので、約5ヶ月ぶり。プレビュー観劇後は「やっと年が明けた!」って気持ちだった。

初演を観劇した人の前評判通り作品自体もめちゃくちゃ良かったし、何よりスチュが戸塚くんにハマりすぎていた。日本キャストでスチュを演じるのは戸塚くん以外無理なのでは…?と思ってしまうほど。ファンになってから今まで観た役の中ではいちばん好きな役でした。

稽古に入る前に単身ハンブルクに渡り、ビートルズやスチュを感じに行くくらいの戸塚くんの熱の入れようが、作品を観てとても理解できました。そのくらい全身全霊で向き合ってくれていた。戸塚くんがTwitterに上げてくれていたたくさんの102movie、プレビュー観たあとに見返したら、より舞台の解像度が上がって良かったです。誰でも観れるようなところに共有してくれてありがとう戸塚くん…ℒℴνℯです。

 


いつもの現場と違って男性の方が結構いらっしゃったのも良かった。最前におじさま座ってるのなんか初めて見た笑 めっちゃいいよね。あわよくば戸塚スチュの美しさに「はわわ…」ってなってて欲しい。美しいものに性別なんて関係ないので。

初演含め、ビートルズのガチファンの方にも観てもらえているみたいで、しかも評価がすごく高いので、演者のいちファンではあるけどとても誇らしいです。

私はBACKBEATという作品に出逢えて本当に幸せです。素敵で熱い約1ヶ月をありがとうございました!心から再再演を待ちます!!

 

 

 

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以下は各会場の記録。

 


江戸川区総合文化センター

「まずプレビュー公演って何や??」と頭にハテナを浮かべながら向かったプレビュー公演の地。駅から遠いけど、そのぶん近隣に住んでる方がよく使うのかな?とても立派なホールでした。

S席のチケットがマジで全然取れなくて笑 友達が当ててくれた3階席の後ろの方でしたが、傾斜のおかげで全体が観れるし、音もふつうに良くてすごく良かったです。プレビュー公演はたぶんふつうに初日でした。

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兵庫県立芸術文化センター

駅直結の綺麗なホール!普段オーケストラの公演もあるようで、期待していたけどそれ以上の音の良さだった。高音の抜けも、低音の響きも完璧。ピートの怒りのバスドラの腹への響き方すごかった。

席がめちゃくちゃ良くて、3列めセンターを引き当ててしまい、衣装の衣擦れとか、ちょっとした移動の靴音とか聞こえたし、暗転でも目を凝らしたら立ち位置にスタンバイする演者の姿が見えたりしてたいへんだったァ

あとはもうお芝居の熱をダイレクトに浴びる、という感じで、特に加藤ジョンさんの感情でバッシバシに殴られて圧倒されてしまった。

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市民会館シアーズホーム夢ホール

去年の夏にお隣の熊本城ホールのA.B.C-Zのコンサートへ行ったので、迷わず行けました。今回の上演会場ではいちばん古い?かな。音の抜けとかは兵庫の会場を経験してしまうと物足りないところはあったけど、これはこれで地下のライブハウス感というか、雰囲気は感じられたので良かったです。ゴールデンウィーク終盤の日程だったけど、2日とも生憎の雨でしたね…

3階席の後方センター(ガラガラだった…泣)と1階席最上手からの観劇。

2日めの加藤さんの歌う"Love Me Tender"がエモーショナルすぎてえぐすぎて忘れられない…大楽を除けばこの日の公演がいちばん好き。

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枚方市総合文化芸術センター

ここもめっちゃ綺麗で素敵な会場だった!上演会場の中では私はここの音がいちばん好みでした。

唯一の下手側(2階席)からの鑑賞。角度が違うだけで見え方が全然違うのですごい新鮮だった。この日、インドラクラブで女の子とイチャつくシーンで、戸塚スチュが相手の背中のファスナーをスッと下ろしてて…「ぎゃー!!」と思ってたらそのあと上手く上げられず手こずっていて苦笑いしてて可愛かった笑 楽しそうだったなww たぶんファスナー下ろしたのここだけっぽい笑

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・東京建物Brillia HALL

出ました悪名高いブリリアホール!前評判が悪すぎて逆にめっちゃ楽しみだった笑 私が昼公演で当てたFC席が2階の謎席で(R席)、ここ音響ヤバいしマジ何も見えん死の席、的なレビューも見かけたのもあってワクワクしてたんですけど(性悪)、一部改修されて改善していたんですね。全く問題ないどころか、足元も広いし、視界は遮るものないし、ライブシーンでスチュが上の方の席を見上げて手を振ったりする時、目が合ったような錯覚を起こせるいい席だった。(よかったね)角度が付いているので、視界の端にお客さんが盛り上がってるのも同時に見れるので、ライブに来た感いちばんある席だった!

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千穐楽、カーテンコールの演奏が2曲もあった。1曲めの"Johnny B. Goode"が終わった後、加藤さんが「このままじゃ終われねえだろ!!さち子さん(演出)、エピー、ごめん!笑」って言って"Rock and Roll Music"!さすがにフー!!ってめっちゃ叫んじゃった。

(2曲めを演る前、加藤さんが「あの曲演るぜ!」って言ったら辰巳くんが「えっ…?どの曲!?」ってキョトンとしていてウケたし、結局加藤さん以外のメンバー全員何演るか分かってなくてみんなで耳打ちし合ってた笑 おもしれー男たち)

キャストのみなさんがテンション上がって客席降りて通路を駆け回ったりしていて、めっちゃハッピーな空間だった。最後に銀テープがパン!と飛んで、完全にツアーファイナルでしたね。出演者にも銀テが飛ぶことは伝わっていないサプライズだったようで、戸塚くんが特攻の音にめっちゃびっくりしてて可愛かった笑

 

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プレビュー前日に伺った笹塚のFAB4ギャラリー『レット・イット・ビー』さん。ちょうどBACKBEATの上演に合わせてスチュ関連の展示をされていました。(撮影許可取ってます)ビートルズのグッズもポップで可愛かったし、小さな部屋にビートルズ愛がたくさん詰まった素敵なギャラリーでした。

個人的な楽しみとして、観劇日には必ずレザージャケット(バクビのために買ったw)とマーチンで行く、と決めていて、それで毎回コーデ組んでたのも楽しかった。プレビューでは結構レザージャケットの方いたのに、大千穐楽には私以外全然見なくなってた(それはそう、クソ暑い)けど楽しかったのでオッケー。

 


あー楽しかった!!!!!!