あなたは夢、あなたは光

guerrilla loveさん観測所です。主に戸塚祥太さんの舞台の観劇記録を書いています。

舞台『緑に満ちる夜は長く…』観劇記録

観劇日

3月2日(昼) @東京 新国立劇場小劇場

3月2日(夜) @同上

3月3日(昼) @同上

3月30日(夜) @大阪 COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

3月31日(昼) @同上

3月31日(大千穐楽) @同上

 

あらすじ

 
雪深い田舎町。そこにぽつりと建つ一軒家。緑川家。

残雪の三月、緑川家では母アキナ(高橋由美子)の葬儀が行われていた。男四兄弟を女手ひとつで育てあげたアキナ。その母を看取ったのは母と共に暮らし、とあるハンデを抱えつつ、介護をしていた三男ユウ(戸塚祥太)だ。連絡を受け、長男ゴウ(加藤虎ノ介)、次男カイ(山口森広)、四男ケイ(溝口琢矢)も実家に帰ってきた。久しぶりに顔を合わせる兄弟たちのあいだで昔のことを思い出し、懐かしんだ。

弔問客が出払ったあと、まだ一人残っていた人物がいた。ベテランの鍵屋(坂田 聡)の人間だった。母の遺品を整理した際に見つかった金庫。その金庫を開けるべく、ゴウが街から鍵屋を呼んだのであった。やがて金庫の鍵が開けられた。そこに入っていたものとは・・・・・・。

『緑に満ちる夜は長く・・・』公式ホームページ | 2024年3月上演 | 公演情報やキャスト紹介


ストレートプレイ(大好物)!!家族とかの話は個人的にちょっと苦手分野ではあるんだけど、愛おしい緑川家の面々に毎回泣かされてしまった…

正直全回泣くってほとんどないですよ…特に結末からセリフから何から何もかも分かっている状態で観る2回目以降ですら泣けるって相当だよ…というか回を重ねるごとにいろんな発見があったりして、そこに想いを馳せて泣いてしまう…とかもあった。

 


緑川ユウという人は、基本的に無表情だし、言葉尻もど直球で強めなのでかなり分かりにくいのだけど、とても愛情深く、優しい心の持ち主だと思う。それはたとえば、疎ましく思っているはずの鍵屋のために切れている灯油を補充したり、車の雪かきを促したり、停電したときには真っ先に「ちょっと見てくる」と飛び出したり…表情豊かに振る舞う他の家族たちと比べると異質にも見えるけれど、ちょっとした行動に心根の優しさが滲み出ている。内に秘めているさまざまな感情が渦巻いているけど言葉にできなくて、それがいちばんわかりやすい怒りとなって表出していただけなんだと思う。

物語を進行するユウのモノローグでは、彼の"感覚の鋭さ"みたいなのも見てとれた。溺れた川底で見た藻の光景の表現だったり、離婚届の紙の薄さに憤ったり、その文字が緑色なことを皮肉に受け取ったり…落ち着いて淡々とした語り口とは対照的に、言葉選びに鮮やかな彩りを感じました。

序盤は会話をするにも目を絶対に合わせなかったユウが、物語が進行するにつれて少しずつ、徐々に目線を合わせるようになっていったのも、ぱっと見だと分かりにくいユウの心の動きがわかるめちゃくちゃ細かい表現だったし、緑川ユウという家族想いの優しい人そのものだったと思う。

ラストシーンで、ユウがお父さんのことを初めて「じゃあ父さん、入ってきて!」と"あの人"や"この人"ではなく、"父さん"と呼んだ瞬間に「ああ、本当に雪解けしたのだ」と感じました。幼少期の描写や、現在の頑なに凝り固まった様子をお芝居を通してすべての場面で丁寧に積み重ねてきたからこそ、さりげない呼び方ひとつですぐ分かる。

(生き別れた当時は"パパ"と呼んでいたはずなので、本当に生まれて初めて"父さん"と呼びかけたことになる、というところも含めて泣けてくる。心の中ではずっとそう呼んでいたのかなとか…泣)

 


今回の舞台は、キャストのみなさんのお芝居が最高なのは言わずもがな、構成・脚本・舞台演出がとにかく素晴らしかった。私の舞台の好きなところが全部詰まってる!って感じだった。

小道具ひとつとっても、たとえばお母さんの手作りパペットが冒頭のごっこ遊びだけでなく、幼少期の回想シーンにも効果的に使われている。ユウとケイが川で溺れてしまうシーンなんか、緑川家においてはかなり重要なシーンだと思うのだけど、パペットを使うことで視覚的にも分かりやすいうえ、実際には深刻で苦しくて重いシーンが少しポップに伝わる絶妙な演出だったと思う。

舞台の構造もおもしろくて、視覚的には二階建てのようになっているのだけど、キャストのみなさんの会話や目線を通してふすまと廊下を隔てた隣の部屋として存在していることが分かる。それだけではなく、ユウがお父さんの写真を火に焚べる印象的なシーンに使われていたり、ケイと赤木くんがいる川の向こう岸に使われていたりと、繰り広げられる物語に奥行きが出て、立体的になる仕掛けになっていてすごく好きだった!

脚本にしても、自然な流れからの細やかな伏線回収が心地よい。

冒頭の原宿でクレープを食べた話は、単純に母が東京に行った時の話ではなく、実は父と母の新婚旅行の想い出深い記憶の話で、ユウと母が2人で過ごした最後の日々に繋がる(この回収の仕方が辛くていちばんエグいなと思った、めっちゃしんどかった) 。幼いユウが「お父さんに手紙を書く!」とやたら手紙に拘っていたり、写真を燃やすシーンでお母さんが「手紙も燃やしちゃおう!」と言っていたのは、終盤で金庫から手紙が出てくるシーンに繋がる。ゴウ兄ちゃんとケイが、セリフの中でお父さんとのわだかまりが解けることを"雪解け"と印象的に表現していたら、最後に家の周りに積もっていた雪をお母さんが優しくはらうことでほんとうに解けた。

欠けた状態で始まった家族の戦隊ヒーローごっこ遊びが、ラストシーンで初めてフルメンバーでの完成を見せる構成の巧さも堪らない。「そうか、私これが見たかったんだ」と素直に思いました。泣きながら笑って、あったかくて幸せな気持ちで終わる。結局ゴリンジャーハリケーンとは一体どんな技なのか…ボールを蹴ったあと、ダンボール仮面は一体どうなってしまうやつなのか…それは分からずじまいなのもいい笑

 


とにかく去年の6月の夜曲以来、久しぶりに浴びた戸塚くんのお芝居が素晴らしくて…。観劇しているこちら側も身体に力が入ってしまうほどの緊張感みたいなものが常にあったのですが、実際、私がファンになってから出会ったどの役よりも難しかったんじゃないのかな…と感じました。カテコでお面を取った瞬間に"戸塚祥太"に戻り、柔和に緩む表情に毎回安堵しました。


戸塚くんが「役を生きてるな〜!」という瞬間がいろんなところで見受けられたのもすごく良かった。細かいところでいうと、玄関に履き捨てられていたゴウ兄ちゃんの靴をすぐ履きやすいようすっと揃えた(次のシーンでゴウ兄ちゃんが靴を履く)日があって(2日の夜公演だったかな…)、芝居の流れを止めない、っていう意味合いも勿論あったとは思うんだけど、愛情深いユウというキャラクターとも矛盾しないところにグッときました。

そういう、ちょっとしたトラブルみたいなものも瞬時にお芝居に取り込む感じとかが、まさに"ジャズ"で、毎回セッションしてんな〜って感じだったのがものすごく良かった。大千穐楽、最後の一回で熱くなりすぎてセリフの言い回しが少し変わってしまったのもジャズだったしめちゃくちゃライブだった。それぞれがそれぞれの役を生きていたし、セリフの抑揚や間、クライマックスに畳み掛けるように語気を強めたり、その日その時その瞬間の"場"を乗りこなしている感じがした。めっちゃジャズ!

 


事前のインタビューであったり、パンフレットの田村さんとの対談でも明確に言及してあったのが、田村さんは"基本的に脚本は当て書きをする"ということ。

お母さんも、ゴウ兄ちゃんもカイ兄ちゃんもケイも、お父さんも、役を脱いだ普段の様子こそ知らないけれど、お人柄が見える役柄だなあ〜と感じたのだけど、一回観ただけでは戸塚くんも"当て書き"ということを理解できなかったかもな〜と思う。だって戸塚くんはあんな、ユウくんみたいにめんどくさくな…、、、あいやめんどくさいか…めんどくさいな!?(でもそこがめっちゃ好き)

アイドルや俳優の肩書きだけではなく、いろんな一面がありすぎて、でもそのどれも紛れもなく"戸塚祥太"で、どこかで矛盾しそうでしない、とても魅力的なひと。同時にすこしの危うさも内包していて、ひとつ掛け違えて、この芸能という世界にもしいなかったら…思いがけずユウくんを通して戸塚祥太という人のことをまたひとつ理解できたような気がする。ユウくんの存在があることで、掴めそうでいまいち掴みどころのない戸塚くんの輪郭が浮かんでくるような気がしました。まあでもほんと、こんないちおたくに掴まれることなく、理解されることから一生逃げ切って欲しくはあるよね!笑 私もたぶんめんどくさいおたくなんだと思うわ笑

照明に照らされて、セットのふすまや白い壁に戸塚くんの影が落ちる瞬間があったのだけど、めちゃくちゃ美しくてさ、イケメンは影すらも綺麗なのか…とんでもねえな…などと、ストーリーと全く関係ないところでもいたく感心していました。おわり。

 


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

 

f:id:shishimaru_j:20240407201750j:image
f:id:shishimaru_j:20240407201747j:image
東京公演の会場である新国立劇場(小劇場)。初めて来たけど、会場の周りが静かで落ち着いていて、すごく素敵だった。バルコニー席があるということで、B席でも観劇しました。上から見下ろすようなかたちになるので、川の描写の回想シーンで、裏方に回っているユウとケイの姿が上から見れてしまうのがおもしろかった。いろんな角度で観れたのがいい経験だった。コンパクトで観やすくて、いい会場だったな。

f:id:shishimaru_j:20240407201916j:image
大阪公演の会場であるTTホール。お向かいのWWホールは『今度は愛妻家』の時に来たことがあったので、お久しぶりです!という感じだった。TTホールのほうが小さめ。開場前に、大阪城の周りを散歩してから観劇できて良かった。桜がまだ全然咲いてなかったのがすこし残念だったけど、作品の季節設定とは絶妙に合っていて(冬の終わりと春の始まり)、雪解けを待っているのかも!?と思った。

f:id:shishimaru_j:20240407201820j:image

(これは桜ではないよね?)

福岡に帰ってきた次の日には桜が咲いていて、ああ、春が来たんだな、と思った。愛おしくてあったかい冬の終わりの1日だった。

 

Giga

Giga

Gaudi San

Gaudi San

Utauyo

Utauyo

Yume

Yume

Nannimonai Uta

Nannimonai Uta

  • Pascals
  • シンガーソングライター
  • ¥204

Moon River

Moon River

Mast

Mast

 

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場THE MUSICAL』観劇記録

観劇日

1月14日(夜) @ 福岡 博多座


f:id:shishimaru_j:20240204142836j:image
f:id:shishimaru_j:20240204142843j:image
福岡に住み始めてもうすぐ6年が経つんですが、博多座に行ったのは初めて。ずっと入ってみたいと思っていたのだけど、博多座で上演されるどの作品も、一般で気軽に買える感じじゃないんだよな…笑 歌舞伎も勿論あるけど、ミュージカルとか宝塚もたくさん上演されている印象。やっと行けて嬉しかった!

中の造りが面白かったな。階段が多いので動線が複数あって不思議な空間だった。あちこち増改築した家みたいだった(絶対に間違っている表現w)

出店?も複数出ていて、軽食やお土産、飲み物も売っていて、中にあるレストランもフロアごとに3つくらいあってお祭りみたいで、ふらふら歩くだけで幕間も楽しかった。上演作品によって変わるのかな?チョコレートショップが出店してました。ソファもたくさんあったから、みなさんお弁当食べてた。予約制だったみたいで、幕間で買える感じではなかった。私も予約しとけば良かったなー!次に博多座来ることがあればお弁当食べたい。

f:id:shishimaru_j:20240204143014j:image


座席に着くと、オーケストラのチューニングみたいなのが聴こえてきたので、生オケ確定(知らなかったw)してガッツポーズだった。生オケ大好き〜!

一幕ど頭から堂本光一ウォンカ降臨!顔が美しい!スタイル良い!ていうか、歌うめえ〜〜〜!!と怒涛の感情が押し寄せてきて忙しかった。光一くんの舞台ずっと観てみたかったから本当に嬉しかった!

銀髪のロングおさげヘアなんて、似合う人間はほんの一握りだと思うけど、違和感なくてすごかったな…

胡散臭くて、精神年齢が子どもたちとさほど変わらない悪趣味な、でもなんか憎めなくてほっとけないウォンカをとても魅力的に演じていたな〜と思う。(たまにたぶんアドリブで素の光一くんが出てたのもめっちゃ良かった笑)

 


観月ありささんも美しかった…貧乏な家庭で、衣装も煌びやかというよりかは垢抜けないもっさりしたものだったのに、立ち居振る舞いも歌声もとても素敵だった…今は亡きパパとの思い出を歌い上げるシーンは、会場の至るところから鼻を啜る音がしていた。感動したなあ…

 


二幕はチョコレート工場の中へ入るシーン。チョコレートの泉のセットから、なんとチョコレートの匂いがした。私は三階席のはじっこだったし、マスクもしてたのにマスク越しにチョコの匂いしたので、驚いて一瞬マスク外した笑 すごい〜!と思ってたら、次の部屋でいちごの匂いもした!これもマスク突き抜けてきたから、一階席の方とかもっとだったのかな?と思ったり。(ナッツの部屋でナッツの匂いは特にしなかったので、チョコといちごだけ?かな)

工場のシーンは世界観や色彩含め、ずっと"インフルエンザの時に見る夢"みたいな非現実感があって最高だった。最上階の、机と椅子以外は何も無い、真っ白な空間(ウォンカの頭の中の中枢)との対比がとても美しかったなと思う。

ラストの透明なエレベーターでチャーリーとウォンカが夜の街の上空をフライングするシーンもすごく良かったな。ほぼ某ランドのフィルハーマジック(大好き)だったわ…素晴らしい。

 


子役の子たちも最高だったな。一人一人の才能が光ってた!カテコで主役の光一くんと2人でちょこちょこ出てきた涌澤昊生くん(チャーリー役はトリプルキャスト)かぁわいかったな〜!ほぼ出ずっぱりだし、セリフも多いのに立派だった。舞台袖で光一くんのオモチャにされてたのも可愛かった笑

みんなすごかったけど、バイオレット役の女の子の歌が上手すぎたのと声量にひっくり返ってしまうほど驚いたので、思わず幕間でお名前調べてしまった。ダブルキャストで、この日は 土井祐杏貴ちゃんだったみたい。13歳だそうで…いや半端ねえ〜〜!将来が楽しみすぎる。

 


映画のほうをちゃんと観たことがなくて、こんなお話だったのね、と思った。(限定チケットが当たって工場に行く、ってとこまでは知ってた)

ウォンカの孤独を、これからチャーリーやチャーリーの家族が埋めてくれるといいなあと願いました。おもしろかった〜!

舞台『ABC座星(スター)劇場2023〜5Stars Live Hours〜』観劇記録

観劇日

12月8日(夜) @東京 帝国劇場

12月9日(昼)@同上

f:id:shishimaru_j:20231217134253j:image

今年のえび座は事務所の先輩後輩のグループの曲を歌い踊るAct A、A.B.C-ZのコンサートであるAct Zの二幕構成。

今回はお芝居ナシだったけど、Act Aは"ライブで表現するジャニーズ伝説"だと感じました。いち表現者として、時代を創ってきた大きな事務所の歴史を辿り、これまで幾多のグループが届けてきたショーを体現し、届ける。お芝居がなくても、そこにある想いだったり、全員が真摯に繋いできた"ジャニーズイズム"を感じました。(敢えて旧事務所の名前出すよ!どう表現したらいいかわかんないからさ!)

特に戸塚くんの「Replicant, Resistance」が最高だった…(バックに錦織さんの映像が流れていたらしいが、2回とも戸塚くんの顔しか見ておらず、知らなかったw)

目深に被ったハットから時折覗く瞳と甘い声、ゆったりとしたダンスから醸される色気…いやあ…たまらなかったね!あれはいいものだ…

 

ジュニアの子たちもアクロバットやってたけど、塚ちゃんのアクロバットはなんかやっぱ他と全然違うんだよな…しなやかに軽々としているけど、どっしりとした筋肉の質量を感じるというか。ほんと見てるだけで元気になるし健康になれる。ありがてえ。

復帰直後のSLTの頃は、表情にたまに疲れも見えたりして心配した瞬間もあったんだけど、えび座は完全復活!って感じがしました。本当に良かった塚ちゃん…

 

五関くんの「Make It Hot」観れたのマジで嬉しかった!(元すの担なので)たしか五関くんラジオでメキホの振付した時の話したことあったんだよね。「速いし、フリ数がめちゃくちゃ多いから、無理して全部やんなくていいよ」って言ったら佐久間が全部バッキバキにやってこなした、っていう大好きエピソード(元佐久間担なので)。それが「自分に返ってきちゃった」って言ってたのも大好きすぎる!笑 そうは言いつつもさすがの五関くん、ジュニアを従えて圧巻のパフォーマンスでした。私はA.B.C-Zを初めて観た時から五関くんのダンスを愛してるんだ…最高です…おなか…

 

 

Act ZはA.B.C-Zのコンサート。星に乗って歌う5人が眩しくて、二幕の初っ端からうるっとしてしまったな…高いところが苦手な河合くん(なんか河合くんと戸塚くんの星だけやたらくるくる動いてた)、そんな素ぶり見せずにやり切ってくれた。いつもながらすごいことだよね。

関連雑誌のインタビューでも、戸塚くんが一貫して"こちらは白米を用意しているから、各々の思い出というおかずを持ってきてね"という言い方をしていたのもあり、セトリはシンプルというか、余白を感じるような構成だったのかな〜という印象です。観客側のA.B.C-Zとの思い出だったりを重ねることで完成する舞台というか。そう考えると客降りファンサをアリにしたのも納得かな。

ただ客降りファンサありだと、どうしても公演後のSNSに多く流れてくるレポが公演内容のレポよりもファンサのレポになってしまうのが残念…ファンサを貰えたか貰えなかったかでその人が観た公演の満足度や良し悪しが決まってしまうような気がして。こんなこと言いながらもあったらあったでそりゃあ嬉しいんだけども!貰えなかったら寂しいし!だって大好きだからさ!!難しいね!!

 

戸塚くんのソロコーナーが本当に素晴らしかったです。戸塚くんはステージの上で生きる人だ、と改めて思いました。全体を通して見ても戸塚くんのソロコーナーだけちょっと異質なんだけど、戸塚くんの愛するお芝居とダンスと音楽と芸術が詰まったソロ"SHOW"コーナーだった…帝国劇場というステージで観られて本当に幸せでした。2階席から観た光景なんか余りにも美しかった。

そして同時に河合くんへの超特大激重ラブレターでもあると思いました。"河合くんとの別れ"に対する戸塚くんのクソデカ感情が大爆発してた。

「If you don't know break up you don't know love」

"別れを知らないと愛を知ることはできない"

セトリの中で唯一公式に音源化されていない、戸塚くんの新曲。(初期アクモンの曲名かよ…と思うくらいの長めのタイトル)

私は2回観劇したのだけど、1回目で最後に戸塚くんが溢す「My friend,forever」というフレーズが「何か聞いたことあるフレーズだな?何だっけ…」と思ってたんだけど、SNSで"あれはglだ"と知りました。それも河合くんが脱退を発表した日の。(ありがてェ〜SNSやっててヨカッタ〜と思うポンコツ)

脱退発表時、最初に背中を押してくれたのは戸塚くんだったと明かされていて、発表直後のコメントとかでも「ああ…なんか戸塚くんらしいな」と感じたと同時に、納得するのなんだか早過ぎだしあっさりしているようにも見えていたのだけど。この3ヶ月、色んな媒体で明かされた想いを目にするたび、"背中を押した"、それ自体を後悔こそしていないだろうけど、"戻ってきたっていい、海外だとそういうのもよくあるから"と言ったり、冠番組やオフショットで普段なかなか見せない涙を見せたり、FC会報の口ピアスの話なんか、知った時は言葉が出なかった…これをある種の執着と言わずしてなんと言うの?全然あっさりなんてしてなかった。たかだか2年ちょっとしか2人のことを見ていない私になんか到底測り知れないふみとつシンメの関係性…シンメって単に立ち位置の話ではないんだなと思った。始まりは勿論そういう単純な話なのかも知れないけど、きっともっとずっと特別なのかも。

"近くて遠い 二つ目の心臓"

いつかのgl。これはきっとシンメのことを表現してるんだよね。公演中も、シンメの位置で歌っている河合くんの方へ身体を向けてじっと見つめていたり、ステージ上にいながら河合くんへの愛を隠さない戸塚くんが愛おしかったです。

 

ライブの構成に唸ったのは戸塚くんのソロコーナーからの、はっしーの「Vanilla」アカペラ独唱です。

直前の戸塚くんのソロコーナーが特殊すぎて、「何が起こったんだ…」と呆然となっている客席が、はっしーの歌声にハッとなり、ステージ中央へグッと一気に吸い寄せられる感覚。圧巻だ…鳥肌が止まらなかった。ソロコーナー後のあの空間の切り替えができるのははっしーの独唱一択だわ、それ以外ないんじゃないかとすら思う見事な構成だった。(そして何事もなかったかのようにキラキラ衣装をバッチリ身に纏い登場する戸塚くん)

epで聴いてた時はそこまで好き!という感じではなかった「OVERHEAT」が相当良くて、血が滾りました。A.B.C-Zは良曲が多いけど、パフォーマンスを見て好きになるという曲もめっちゃ多いのでやめらんない。「fragrance」もすごい良かった!独特の音取りしてるから五関くん振付ぽいな…と思っていたらやはりそうだった。天才だわ。

 

"僕の優しさよ底をつけ"と言った戸塚くんと「君の優しさVS僕の愛情」を歌う河合くん。SNSでどなたかも言及していたけれど、私も今回のえび座の河合くんソロはやっぱりメンバーへ向けてだと思いました。(バックの星座に関しては全く気づいてなかったけどw 相変わらず顔しか見ていない)

河合くんが歌い語りかける4つのピンスポットで「あ、これは…」と思っていたら、河合くんが"離さないよ"じゃなくて"ありがとう"って言った。「これはメンバーへ向けてだ…」と確信したあと、最後の "僕は羽ばたくから"の歌詞の解像度が急に上がった。

それはそうなんだけど何だか、"いなくなるよ、準備してね"ってずっとほんのり言われてるような公演だなと思っていたけど、そうか…河合くんいなくなるのか…卒業公演なのか…羽ばたくのか…と急に腑に落ちた瞬間だった。

 

毎公演、最後に5人からの挨拶がありました。私が観たのは2日目と3日目だったから、わりとふわふわしていたように思うけど、公演が後半へいくにつれて、流れてくるレポで知るメンバーのMCが感傷的になっているのが分かる。(レポ流してくださる方、感謝です)

とは言え、私みたいに最初の方しか入れない人も中にはいるわけで。戸塚くんが"毎回最終回をしている"と言ってくれていたことが救いだったな。まだ21日を迎えてはいないけれど、私の最終回、しっかり現地で見届けられたな良かったな、と思います。念願の「俺たちとみんなで〜?」「A.B.C-Z!」に声を出せて良かった。

 


「また出会える日まで」

 

f:id:shishimaru_j:20231217134345j:image
f:id:shishimaru_j:20231217134341j:image
f:id:shishimaru_j:20231217134350j:image

f:id:shishimaru_j:20231217142455j:image

Enamel Slowわい!!!!!!!!!!

舞台『夜曲〜ノクターン〜』観劇記録

観劇日

6月10日(昼) @ 大阪 松竹座

6月10日(夜)

6月11日(昼)

f:id:shishimaru_j:20230624220811j:imagef:id:shishimaru_j:20230624220828j:image
歌舞伎の公演などが多いイメージだけど、外観は意外にも洋風ですてき。建て替え等を経ているということもあるんだろうけど古さをほとんど感じない。

最近のホールにはあまりない直線的な内装のデザインも、提灯が並んでほんのり紅く照らされた壁も、異空間って感じでドキドキする。あと桟敷席って座ったことはないんだけどキュンとするよねえ。角度ついてるから観やすそうだな。どうなんやろ。

 

夜曲の初演は1986年。塚ちゃんも戸塚くんも(私も←)同じ歳なんですね、すごい。不思議な縁を感じた。いろんなキャストで何度も演じられてきた名作を今回大好きなひとたちのW主演で観劇できて良かったです。なかなかないことなんじゃないかな。

三階席でも五関くんの少し高めの声は声量を抑えてもよく通るし聞き取りやすく、声を張り上げても威圧感を感じないし耳当たりが心地よいのすごいと思う。素人目からしてもとても舞台向きの声だなと思う。成人男性なのにすこし幼さも含んだ発声なので、ツトム役にぴったりだった…!

対して戸塚くんは声量と抑揚で聞かせる感じ。「自分の声はボワっと広がりやすいから発声、特に語尾の発声を気をつけている」ってのどの窓(ラジオ)で言ってたけど夜曲はそれがめっちゃ分かった。五関くんと比べると低めだから広がりやすいのに、ピシッとドシっと締まって聞こえた。

歌舞伎・演劇の世界|松竹株式会社

ジャニーズ×AKB×宝塚×歌舞伎×小劇場、のエンタメ異種格闘技って感じのおもしろいキャスティング。でも不思議とまとまっているのがこのカンパニーの持つ力だなあと思う。それぞれ違う畑で生きてきた人たちが、同じ気持ちでひとつの作品を作り上げて届けてくれた。舞台観劇の醍醐味って感じ…!

あらすじ

気弱な新聞勧誘員のツトム(五関晃一)は放火魔。ある夜、彼は幼稚園の廃墟に放火する。そこに現れるサヨ(兒玉遥)という少女。サヨはツトムがマッチを擦ると必ず現れる不思議な少女で、話すのは今夜が初めてだった。ツトムが幼稚園の廃墟を放火したことをなぜか喜ぶサヨ。すると、焼け跡から十五(戸塚祥太)と名乗る武士が現れる。十五は700年前に、主君である早川家のお世継ぎ・虎清を守るために悪霊・玉野尾(愛原実花)と戦い、その呪いによって長い眠りに落とされていたという。さらに次々と現代に蘇ってくる700年前の武士や姫たち。玉野尾は深い恨みから虎清の失墜を狙い、虎清とその許嫁・千代姫(相楽伊織)の婚約を破棄させるべく、家来の黒百合(河合雪之丞)を虎清の元に送り出す。

時代を超えた勢力争いに巻き込まれたツトムは一体どんな選択をするのか…。

公式フライヤーより引用

 

全体を通して「善とは?悪とは?」をずっと問われているような作品だった。

終始"自分は善人である"というような振る舞いをしている、五関くん演じるツトムは放火魔というれっきとした犯罪者だし、悪霊と戦い、主君を守り忠義を尽くそうとしている戸塚くん演じる十五は、千代姫を殺害しているし…

"正義"は多面的であって揺らぎやすく、一面を見ただけで判断するのにはとても危うい概念だと思います。ツトムの言うような"分かりやすい正義"なんてものはほとんど存在しないんじゃないか?とすら思う。

特にツトムの倫理観には疑問で、「人殺しなんて!」とまともなことを言っているようだけど、自分は「それに火は綺麗だし、」とか言って放火やってる時点でアウトなんだよな…でもだからと言ってツトムは悪人なのか?って言われると違う、と言いたくなるし…

ツトムの罪に関しては、中盤で一度だけ出てくる放火仲間のゴロウさんとの対比がとても印象的。というか、観客である私自身もゴロウさんがいなければ、放火自体を舞台上の演出とかツトムのキャラ付けくらいの軽い気持ちでしか見れなかったかも知れない。同じ罪を犯しているのに、その罪への向き合い方というか捉え方というか、"覚悟"みたいなものがまるで違っていた。ツトムはたぶん嗜好品みたいに、やめようと思えばいつでもやめれると思ってるよね?ゴロウさんはその域で放火やってないもん…犯罪だということも、自分が病的に火を求めているのも、それが分かっていても今更やめられない苦しさの中でもがきながら生きてる。

「正義の味方というのは味方するだけだ、正義に味方するだけで正義ではない」とその実悪よりも血に手を染めていることを自分で認め、それを抱えながら生きている十五とも重なる部分がある。何ていうか…ツトムには自分の人生の重みみたいなものを感じないんですよね。だからこそ火を付けてしまう弱さを持っているんだろうと思うんだけど。主人公になれる(なった気がする)のは火を大きくした時だけで、いつも自分は蚊帳の外。スポットライトを浴びられない閉塞感から解放されるのが唯一火を付けた時だけなんだろうな。火の中にしか自分の居場所を見られない。なんて哀しい男なんだろう…でも人とコミュニケーションが全くとれない、みたいな暗い性格の人間でもなさそうだし、この一夜の出来事がツトムにとっていい影響を与えてくれたらいいな、と思う。ツトムは唯一の居場所であり、心安らぐ時間の相棒だったマッチを手放してまで、この物語の主人公になろうとしていたのに、結局は「また蚊帳の外だ」と思ったのかも知れないけど、この夜に限っては"700年前の物語を再び始め、そして終わらせた"という思わぬ大役を担っていたと思う。

ハレー彗星が再びこの星に近づく時は76年後。ツトムは100歳。まだ生きていて火をつければ、また物語が始まるのかも知れない。でも、おそらくその日は来ない。ツトムがこの物語の主人公になる日はもう来ない。だけど生きていかなきゃいけないのだから。


ファンタジーでありながらシリアスなテーマのこの作品。初見では、序盤の所謂"笑い"のシーン、ツトムと十五が親交を深めたり、祈祷師が呪いを解いたり、玉野尾がサヨに呪いをかけられたりするコメディパートがなんだか浮いて見えて、「これ笑かす必要ある…?」って否定的だったんですが、三度目の鑑賞時には、あのコメディパートによって意図的に生み出された緩急があるからこそ、終盤にかけての十五の陰の部分が色濃く深くなって、観ているこちらの心を容赦なく抉ってくる…というのが分かりました。幕間挟んで2幕に分かれてたらまた感じ方が違ってたと思うので、分断せず地続きでやってもらえてよかったと思う。

(ただ、A.B.C-Zのおたくしか楽しめないような内輪ネタが一部多かったのは最後までかなり気になった。おたくの私は楽しいけれど、他のキャストのファンとか一般の方はどう感じたのかな?とは思う)

何と言っても戸塚くんの目の演技が本当に凄かった。現代に蘇った武士である十五が、自分が生きていた時代にはなかったコーラやタバコにはしゃいだり、自信を持つようツトムを諭したりと、明るくて強くて優しく主人想いの人物として描かれていた前半と打って変わって、後半は自らの背負ってきたものや出自の卑しさに起因するコンプレックスを露わにする。十五が千代姫の身代わりを問い詰める瞬間から、別人のように目の表情が変わり、殺意を滲ませるさまに心底ゾッとした。あんなに…あんなに楽しかったのにッッッ!!!

「善き友人と出会えた」という十五のセリフもあるが、所詮は友達ごっこに過ぎなくて、そもそも生きる時代が700年も違うのに価値観など合うはずもなく…とても滑稽で物悲しい話だ。

ツトムの対極の人物として十五を描いていたと思うのだけど、十五も十五でツトムとはまた違った悲哀を持った人物だったと思う。彼もまた、自分の人生を生きていない。ただ、ツトムとはちょっと違って、時代背景によるものがかなり大きいと思う。当時は身分による差が大きく、生まれた家によって諦めなければならないことが多かったんだと思う。すべてが運命によるものだと母親の言いつけ通りに生きる人生。主君である虎清の目を覚まし、千代姫と無事に祝言を挙げて先代の意思を継ぐこと。戦う力を持たない彼の側にいて刀を持ち、お守りして生きること。現に、700年後に飛ばされたことを知った時、どうすればいいのか途方に暮れていた。生きる目的がなければ生きていくことさえできないのだ。虚しすぎる人生…しかも虎清が死んだことでそれすらもなくなってしまったうえ、故意ではなかったとはいえ謀反の手を下してしまったのは他でもない自分自身である。生きる目的を失った虚ろな目で黒百合に刀をふるい、最期は千代姫と同じように喉を刀で貫かれて死んでいく。きっと言葉を紡ごうとしたところで、滴る血と共に地面に吸い込まれていったのだろう…凄まじい皮肉だ。

そしてその全てが炎とともに葬り去られ、星の光も遠ざかっていく…

 


なぜこの作品のタイトルが"ノクターン"なのか疑問に思ってたんですが(劇中に使われる曲がショパンノクターンだということも含めて)、ノクターンを和訳すると夜想曲、さまざまな解釈はあれど「ああ、あの夜は楽しかったな」と"(過ぎ去った)夜を想う曲"なんですね。ツトムにとってあの夜は特別で、きっと生きている間にはもう過ごすことはなくて、この先幾度も繰り返し想う夜なんだろうと思う。

ええッッ…タイトルめっちゃおしゃれじゃぁん…(アホの感想)

f:id:shishimaru_j:20230624222115j:image
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

ここからは感想でもなんでもないただのお気持ちなんだけども。

正直なところ、元々出演予定だった塚ちゃんのおやすみが発表されたと同時に代役が戸塚くんに決まった日から私が観劇する日まで、切り替えという切り替えが完全には出来ていないような心境でした。元々観に行く予定でFCチケットは申し込んでいたものの、「塚ちゃんと五関くんのW主演のチケットを申し込んだのに…」という気持ちも完全には拭えず(代役が他Gの人やその他の人ではなく自担になったのに)、加えて、戸塚くんがつい1週間前まで演っていたBACKBEATの世界が好きすぎて、余韻に浸る時間が短すぎて情緒もなにもないじゃん…っていう…笑 まあ、これは完全に完璧に私個人の気持ちの問題!

でも実際観劇したら、代役であるということはしっかりと念頭に置きながらも(大楽後のブログにも一貫して代役であることを記していた)、戸塚くんなりの十五を熱演していて、もうそんな個人的なモヤモヤなんて吹っ飛びました。BACKBEATの上演と並行して、ここまでの作品を稽古してたなんて…凄すぎる。点数つけるわけじゃないけども、代役としても百点満点以上でしょう…改めて戸塚祥太の凄さを感じたし、尊敬の気持ちが増しました。やっぱ好きだわ戸塚くんのお芝居…

とは言え、あの十五を塚ちゃんだったらどんなふうに演じていたかな?と思う気持ちは観劇中もずっとあったし、それを観たい気持ちは全然変わらないので、いつか絶対に再演して欲しい…特に普段ぴかぴかの"陽"の要素が強い塚ちゃんが演じる十五の"陰"はどんなふうかな…想像だけでドキドキする。

 

青×黄色×ピンクでコーディネートして、浴衣で松竹座公演の観劇に行けて良かった(雨だったけど)

舞台『BACKBEAT2023』観劇記録

観劇日

4月23日(プレビュー公演) @ 東京 江戸川区総合文化センター

5月2日(夜) @ 兵庫 兵庫県立芸術文化センター

5月3日(昼) @ 兵庫(楽)

5月6日@ 熊本 市民会館シアーズホーム夢ホール

5月7日 @ 熊本(楽)

5月20日 @ 大阪 枚方市総合文化芸術センター

5月31日(昼) @ 東京 東京建物Brillia HALL

5月31日(大千穐楽) @ 東京


今回も上演する全会場で観劇することができました…!バンドの生演奏があるということもあって、会場毎に音の鳴り方・拡がり方や感じ方が全然違ってすごく面白かったです。

音質の良さとしては、

池袋<江戸川=熊本<枚方<兵庫

って感じかなあ。(ど素人の感覚ですが)個人的な好みで言うと枚方の会場の音がめっちゃ好きだった。前評判のめちゃくちゃ悪かった悪名高いブリリアホールも、言われてたほどではなくて、演出家さんや音響担当さんの相当な努力を感じました。(ありがとうございました)

公式で、地方公演ではなく"ツアー"って表現を使っているのがすごく良いよね。実際ライブツアーだったしなあ。東京のプレビュー公演から始まって、地方を回り、東京に戻ってくるっていうスケジュールもすごくいい。全会場制覇したいおたくとしては大変だったけど(正直者)。

観客の反応(拍手、手拍子)も演出のピースのひとつであり、特に2幕の冒頭ではSEもなく、参加型なのも良い。客電点いた状態で始まるから、本当にアンコールの拍手で彼らが出てきたみたいになる。上演を重ねる毎に拍手が大きくなっていくのが分かったし、観劇するこちら側の熱も上がっているのを肌で感じられたのもすごく良かったです。

あらすじ

1960年、イギリス・リヴァプール
絵の才能を持つスチュアート・サトクリフ戸塚祥太)は、同じ学校に通う親友ジョン・レノン加藤和樹)に誘われ、ロックバンドにベーシストとして加入する。スチュアート、ジョン、ジョージ・ハリスン辰巳雄大)、ポール・マッカートニー(JUON)、ピート・ベスト(上口耕平)ら5人の“ビートルズ”は、巡業で訪れたドイツ・ハンブルクの地で頭角を現してゆく。

とある夜、スチュアートは彼らのライブに来ていた女性写真家のアストリッド・キルヒヘア(アストリッド・キルヒヘル)(愛加あゆ)と運命的な出会いをし、二人は恋に落ちる。スチュアートはアストリッドとの出会いをきっかけに再び絵を描き始め画家の道を志すが、ビートルズは魅力的なナンバーを次々に打ち出し、評判は日に日に高まってゆく―――。

(公式サイトより引用)

ステージ全体を金色の額縁が囲んでいる素敵なセット。このセット、初めて見た時からもう大好きだった。ステージセット見ただけで「これ絶対好きなやつ〜」って私の中の長田さんが歌いたくなるやつ。(は???)

 


冒頭、戸塚くん演じるスチュが中央の大きなキャンバスに向かって絵を描く印象的なシーンから始まる。

荒い息遣いで身体全体を使って大担に塗ったり、絵の具まみれの手で細かいところに筆を入れたり…ふいに登場したキャストのみんなに見守られながら、スチュが絵の具をバケツみたいなもので派手にぶち撒けた瞬間、レコードに針を落とすみたいにして、"That'll be the Day"が流れ始め、鏡に向かってリーゼントをキメるジョン、ポール、ピート、ジョージが合流し、物語が走り始める。

 


何度めかの観劇後、「これは、スチュが描いた絵みたいなものなのかも知れない」と思った。上手く言えないけど…

初期ビートルズの5人や、アストリッドやクラウス、カールを始めとする悪友たち、女の子たち、クラブのオーナー、プロデューサー、マネージャーのエピーさん、リンゴ…みんなキャンバスから飛び出してきて物語を紡ぎ、爆音で音楽を掻き鳴らし、青春や友情や夢や恋や悲しみや希望、そして観客の熱狂を全部抱えてキャンバスへと戻っていく。まさにアートと音楽の融合だと思った。スチュが愛し、悩み、手放したものと手に入れたものたち。

 


ビートルズは世代ではないけれど(私の父くらいがガッツリ世代なのかな?)、曲は良く知っているし、メンバーも分かるバンドってめっちゃすごいよね。未だにメディアでもBGMとかで曲使われたりしてるし。

ただ、この作品を観て私がこれまで抱いていたビートルズの印象がガラリと変わりました。特にジョン・レノンって勝手に穏やかなイメージだったんだけど、あんな荒くれ者だったなんて…まじ????ってなった笑 

マッシュルームカットで揃いのスーツ。そんなイメージが定着する前は、後のことなんかちっとも気にしない青くさいガキで、バカでかい音楽を鳴らし、怒ったようにシャウトし、ドラッグ!セックス!ロックンロール!って感じだったんだなあ。

ジョンは皮肉屋で言葉遣いが強くて荒いのでちょっと分かりにくいんだけど、繊細なんだなと思った。あと愛が重い笑 ブラックジョークや下ネタで誤魔化すようなところがあって、強い言葉で自分を守ってるような印象でした。スチュが死んだ時も、酷い言葉やその場にそぐわないきつい冗談で、スチュを永遠に失った悲しみを必死で誤魔化そうとしていた姿が痛々しくて、普通に泣かれるよりも数倍辛かったです。

とにかく加藤和樹さん演じるジョンがとても魅力的で、バンドのフロントマンとしても、この作品の舵取り役としても圧倒的な存在感で、毎回圧巻でした。スチュにスポットを当てた話ではあるんだけど、この作品をドライブしているのは確実に加藤さんだと思う。私が観劇した8回とも、加藤さんのセリフの間の取り方、表情、仕草、声色、抑揚の付け方…全て違ってました。たぶん全公演変えてきてる。意識して変えてる感じではなさそうなので、本当にその場その場で加藤さんの中のジョンが発言しているんだと思う。役を生きる以上のことが毎公演起こってた。本当にすごいことだよ…

 


ビートルズといえば?ジョン・レノンポール・マッカートニー、という公式を世代でない私も知っている。この2人の関係性も丁寧に描かれていた。

"Twist and Shout"をアコギでラテンに歌うポールの演奏を止めて、ワイルドにアレンジするジョンとか、"Please Please Me"を2人で作るシーンとか。ポールのセリフからも、こんなふうなやり取りをしながら学生時代、休み時間や空いた時間に2人で曲を作ってきたんだなあと微笑ましくなる。ベルトさんにジョンが突っかかった時も、ポールは即座に「こいつは必ず伺います、と言ってるんです!」と翻訳したくらい、ジョンの天邪鬼なところを完全に理解していたんだと思う。

ジョンがポールに「俺がお前のことを嫌いだな〜と思う瞬間を教えてやろうか?正しいことを言いやがる時だよ!」と言い放つシーンもあるように、ジョンはポールとはスチュのようにウマが合うというわけではないけど、音楽的なセンスとかノリみたいなところはとても合うんだろうなと思う。そしてその合致がビートルズをここまでの世界的なバンドに押し上げたんだとも思う。

ポールが「あいつ(スチュ)は下手くそだ、あいつが良かったことなんか一度もない!」と言っていたように、ベースプレイヤーとしてのスチュは本当に素人レベルだったんだろうなと思うけど、ポールが嫉妬していたということは、ベースの上手い下手とかじゃなくて、それよりもジョンが偏愛的に肩入れするスチュの持つ"何か"がバンドに作用していることを知っていたんじゃないかなと思う。そしてベースを自らが担当することで音楽的には確実に格段に良くなるが、同時にその"何か"を失うのもよく分かっていたんじゃないかなあ。そう考えたら、スチュの死後のレコーディングで「スチュのように演る。あいつは本当のロックを知っていたから」のセリフも理解できる。

その"何か"はジョンの「ポールがベースになって、音が締まって良い感じになった。けどスチュがいた時のスピリットがなくなった」というセリフと、スチュの「お前が俺を素晴らしい人間だと言うのは、ベースを弾いているからじゃない、自分らしくいるからだ。絵を描き、芸術に激しい感情を抱いている、そしてアストリッドに恋をしている」というセリフから、"上手い下手とかどうでも良い、自分らしく生きてロックンロールしている"ってことなのかなあと思った。ただ、それは音楽性を高め、プロとして上にあがっていくためには切り捨てなければいけなかった。

JUONさんのポールはチャーミングでお茶目で、すごく素敵だったな。ギターやベースはもちろんのこと、ハスキーボイスもかなり良い。加藤さんのラジオで、JUONさんはポールを演じるにあたり、右弾きから左弾きに変える練習をしての参加だったけど、本国の舞台では普通にポール役は右弾きしてたらしいので、ポールをきちんと左弾きで演じた初の人だそうです。えぐすぎ!元々ギターを弾けない人だったら、最初から左弾きで学べばいいけど、なまじ弾けるからそれを左弾きに無理やり変えるのは相当な努力だとおっしゃってました。ダンスも元々不得意で、ダンスレッスンもかなり苦労されたみたいです。「ずるいよね、あの3人(戸塚・辰巳・上口)は4秒で覚えるじゃない!」って言っててめっちゃ笑ったw (上口さんはダンサーでもあるのこの時初めて知った)舞台の演奏中も、さすがミュージシャンだな、と思わせるような客の乗せ方とか煽り方をしていてカッコ良かったです。

 


この作品にはセリフの伏線回収みたいなものが結構あって、複数回観劇する中でも気付きがあって興味深かったです。(もっとあるのかも知れないけど覚えてるやつだけ書いておく)

 


・ピート「リンゴ、っていうドラマーがいいぜ」

・ポール「お前が辞めたらレパートリーに入れさせてもらうよ(パティ・ペイジの"Doggie In The Window")」

・ピート「認めないぞ!バンドから追い出すなんて!」

・ピート「俺たちは成功する。ここぞって時にちゃんと答えを出せるから」

・スチュ「あいつは偉大な船長みたいなところがあってね、こう言うんだ。"自分の行くべき道を見つけたら進んでタラップを降りろ"」

・スチュ「俺の頭の中は描きたいもので爆発しそうなんだ。この痛みを止めるには描くしかない」

 


え、いや待って。ほぼこの2人じゃん…ビートルズから去った2人じゃん…今気付いた…

ピート脱退に関する明確なセリフや描写は少ないから、脱退を告げられた時めっちゃ驚いたんだけど、伏線は張ってあったんだなあ。

 


個人的にはピートがいちばん泣けた。(何ならスチュが死んだときより泣いた)辞め方が理不尽すぎる。あのピートの心情を思うと泣けてくるよ…叫ぶような魂のバスドラが響いたわあ…

たしかにキャスト見たとき思ったんだよね。私が知ってるビートルズのドラムはリンゴスターなので、スチュのことも知らなかったけど、ピートのことも知らなかった。ピートも何かしらあるのかな?とは思っていたが、あんなフェードアウトの仕方なんて…あんまりやん、、、「5人めのビートルズ=スチュ」だと思ってたんだけど、「5人目のビートルズ=スチュとピート」だったのかも知れないなあ。だとしてもあまりにも悲しいけどね…スチュにスポットが当たってるから仕方ない部分なんだろうけど、ピートぉ泣

プロデューサーの意向もあるけど他の3人もピートの脱退を望んでいたなんて、そんな素振り一切なかったじゃんかよお!と思ってたんだけど、数回観るうちにジョンとポールが"Please Please Me"を作っていた反対側で、セリフはないけどジョージとピートが言い争っている?ジョージがピートにキレてる?みたいなシーンがあるのに気づいて、もしかして元を辿ればこれがピート脱退の原因なの?となった。この作品って意味のないシーンってたぶん一切なくて、全ての演出・シーンに意味がある作品だと思うので、あれがピート脱退の伏線だったのかも知れないな…

あとはピートの独白のシーンもキーなのかも。ちょっと他の4人を下に見てるところがあるというか…「自分は他の4人とは違う」と傲っているようにも見えた。ピートの言葉を借りると"自尊心"が高すぎたのかも知れないね。(でも1人だけドラッグの誘いに乗らなかったり、常識人なんだよ泣 ピートぉ泣)

上口さんもめちゃくちゃ素敵だった。何を隠そう私はピート推しなんですけど(そうですか)、声がすごくいい。ちょっと高めでスッと通る声!上口さんのセリフの一言め、「ピート・ベスト!」って自己紹介するシーンから好きだったな。一曲だけだけど、歌も聴けて嬉しかった〜しかもあれ原曲"Doggie In The Window"は女性シンガーの曲なんですね。邦題"ワン・ワン・ワルツ"だった笑 カワイ〜!笑

 


ジョージとピートの仲違いのシーン含め、メインで進むストーリーと同時進行で、サイドで繰り広げられているいくつかのシーンは結構重要な気がする。

スチュがアストリッドの元へ通うシーンでは、ポールがベルトさんに直談判で曲を聴いてもらっているし(それが同時にスチュのアストリッドへの恋のはじまりを表現している。"A Taste Of Honey")

 


スチュがアストリッドにヘアカットをしてもらっている時、悪友カールがポールにギターを教わっていたり(それが自然なBGMになっててめっちゃいい)、その反対側ではクラウスがスケッチブックに何かを描きとめている。このシーンが始まる直前、クラウスは上着を脱いでスケッチブックを取り出すのだけど、センターでスチュがアストリッドにノーカラージャケットを着せてもらうのと同時にクラウスも上着を着るんだよ…この対比に気付いた時めっちゃ鳥肌立っちゃった…クラウスぅ泣 クラウスも切ないよね。

その後ビートルズのカラーとは違うスタイルでステージに立とうとするスチュを非難する他メンバーを横目に「いいじゃん」とスチュに耳打ちしたり、頑なに"Love Me Tender"の演奏を拒むメンバーに演奏を促したり、クラウス…いい奴すぎんだろ…泣 そいつ君の大事な恋人奪ったんやで…泣

私が好きなシーンの1つに、強制送還後、ビートルズが再びハンブルクに帰ってきて一発目のライブをするシーンで、スチュが客席にクラウスを見つけてやあ!ってするところがあって。(これ毎回スチュの反応が違っていてめちゃくちゃ好きだったんだよね)あんなことがあったのにスチュとクラウスの関係が良好なのは、クラウスの寛大な性格によるんだろうな…あとシンプルにビートルズが本当に大好きなんだろうね。クラウスってめっちゃいいオタク。

 


ジョージ、圧倒的末っ子感がすごかった。ほんっとに可愛かった。台詞の一言めから可愛かったし、荒々しい言葉とかもあんまり使わない印象で、ジョンとスチュの喧嘩の仲裁に入ったり、後半もぶつかるジョンとポールの熱を冷ます存在というか、ビートルズの良心って感じだった。だけどひとたび演奏を始めるとパフォーマンスが派手でパワフルで華があって、目を惹く存在だったなあと思う。

強制送還でリバプールに帰る時、ジョンなんかカバン1つしか持ってないのに、ジョージ1人だけ両肩モリモリに5・6個荷物持たされてんのは笑ったwww 誰か持ってあげなよwww 自分の年齢のせいでみんなが強制送還になってしまったからなのか、めちゃくちゃしょんぼりジョージで愛おしかった笑

カテコの辰巳くんもでっかいわんこか小学生みたいで、多方面にブンブン手振っててすごい可愛かった…ジョージ同様、辰巳くん自身もキャストのみんなにすごく愛されてるのがカテコでとてもよくわかりました。

辰巳くんはギターとかバンドとか音楽活動は続けないんだろうか…この作品だけにしてはあまりにも勿体なさすぎる。

 

 

 

スチュに関してはキーワードとして「光と闇」があるんじゃないかと思っている。

最初に光を見せてくれたのはアストリッドで、火遊びではなく"恋"という光を見せてくれたという意味合いもあるけど、スチュがハンブルクに来た当初の家(バンビ・キノ)には窓がなく、一日中演奏していたインドラクラブも地下にあり、暗闇の中で生きている彼を気遣って、光が綺麗なエルベ川で2人で写真を撮る誘いをする。

あんなに仲の良かったジョンとスチュの道が明確に分かれたのもこの時で、印象的に照明が使われていました。レコーディングへ行こうと言うジョンに背を向けてアストリッドの元へ向かうスチュを照らす光が横一直線で、ジョンが"Ain't She Sweet"をソロで歌い上げたあと、「どこにいるんだよ、お前は?」と言ってスタンドマイクを引き摺りながら去る時は縦一直線の光。ふたつの光は重ねると交わっているが、同じ方向は向いていない。

個人的に興味深いな、と思ったのは、1幕では"画家であるスチュ"がどちらかというと光に属していて(アストリッドの「絵描きには光が必要よ」といったセリフや、画家として学校の先生や画商たちに期待されている描写がある)、地下のキャバレーで演奏している"ロックミュージシャンであるスチュ"はどちらかというと闇に属しているのに、2幕ではビートルズの人気の上昇とともに逆転しているところ。

2幕の灯台のシーンで、スチュが「光…闇…光…闇…ただの繰り返しじゃない、いつも違うものを見せてくれる…」と言うセリフのあと、2人にアートカレッジに合格したことを告げますが、アトリエにこもる画家である自分(闇)と人気バンドのベーシストである自分(光)、どちらも同じくらいとても愛していて譲れないこと、に長い長い時間をかけて折り合いをつけ、画家として生きることを決め、ジョンと決別したシーンには胸が熱くなりました。

ハンブルクに渡り、本格的にバンド活動を始める前は、自分の描いたものに「主張を感じる」と言われても、「どんな主張?」と聞き返していたり、己の作品についてジョンに意見を求めるなど、傑作だと自分では思っているけど、客観視して言語化できず、よく分かっていない部分があったのかも。それが晩年になると自身の絵について詳細な説明をすることができている。「画家じゃなく詩人のようだ」と揶揄されても、絵画を言葉で説明することの難しさをきちんと言語化している。音楽活動を通じて、知らず知らずのうちに自己形成をしていったのではないか?と思う。ロックンロールは今や芸術になり、低俗な芸術と言われることもあるけど、見せてくれる世界はどちらも違っていてどちらも素晴らしいもの。そのどちらもに身を置いていたスチュは長い時間をかけて悩むほど、選び取るのが難しかったんだと思う。ビートルズの人気が出ないままだったら、もしかしたらここまで悩むことはなかったのかも知れないけど…画家であるスチュ自身にも、"架け橋であるビートルズ"は必要だったんだろうと思う。

 


ラストシーン。セリフは一切なく、スチュが黒い上着をジョンに手渡し、いつものシガーキスでタバコに火をつけ、歓声の中、煙を燻らせながら肩を組んでキャンバスに消えていく…

セリフがないので、観る人の解釈に委ねられるラストシーンですが、きっとスチュはジョンを迎えに来てくれたんだなあ…と私は思いました。そしてあっちでは、また2人でたくさん悪さしてバカやって笑いあってて欲しいなって思う。

 

 

 

…で。毎回号泣の感動舞台なのですが、ここでは終わらないのが舞台BACKBEAT

カーテンコールでは毎公演、観客総立ち、大盛り上がりの生演奏ライブパフォーマンス(しかも選曲は日替わり!)で終わります。役を脱いだキャストのみなさんの心から楽しそうな演奏に、上演中は着席で手拍子のみだった観客も立ち上がってノリノリになる!なので、さっきまで泣いていても、会場を出る頃には笑顔になっているという最高の舞台…湿っぽくならずに終えられてほんと…ロックンロールって最高ですね…となる。

 

 

 

 


前回戸塚くんのお芝居を観たのは年末のジャニーズ伝説だったので、約5ヶ月ぶり。プレビュー観劇後は「やっと年が明けた!」って気持ちだった。

初演を観劇した人の前評判通り作品自体もめちゃくちゃ良かったし、何よりスチュが戸塚くんにハマりすぎていた。日本キャストでスチュを演じるのは戸塚くん以外無理なのでは…?と思ってしまうほど。ファンになってから今まで観た役の中ではいちばん好きな役でした。

稽古に入る前に単身ハンブルクに渡り、ビートルズやスチュを感じに行くくらいの戸塚くんの熱の入れようが、作品を観てとても理解できました。そのくらい全身全霊で向き合ってくれていた。戸塚くんがTwitterに上げてくれていたたくさんの102movie、プレビュー観たあとに見返したら、より舞台の解像度が上がって良かったです。誰でも観れるようなところに共有してくれてありがとう戸塚くん…ℒℴνℯです。

 


いつもの現場と違って男性の方が結構いらっしゃったのも良かった。最前におじさま座ってるのなんか初めて見た笑 めっちゃいいよね。あわよくば戸塚スチュの美しさに「はわわ…」ってなってて欲しい。美しいものに性別なんて関係ないので。

初演含め、ビートルズのガチファンの方にも観てもらえているみたいで、しかも評価がすごく高いので、演者のいちファンではあるけどとても誇らしいです。

私はBACKBEATという作品に出逢えて本当に幸せです。素敵で熱い約1ヶ月をありがとうございました!心から再再演を待ちます!!

 

 

 

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

 


以下は各会場の記録。

 


江戸川区総合文化センター

「まずプレビュー公演って何や??」と頭にハテナを浮かべながら向かったプレビュー公演の地。駅から遠いけど、そのぶん近隣に住んでる方がよく使うのかな?とても立派なホールでした。

S席のチケットがマジで全然取れなくて笑 友達が当ててくれた3階席の後ろの方でしたが、傾斜のおかげで全体が観れるし、音もふつうに良くてすごく良かったです。プレビュー公演はたぶんふつうに初日でした。

f:id:shishimaru_j:20230603193445j:image

兵庫県立芸術文化センター

駅直結の綺麗なホール!普段オーケストラの公演もあるようで、期待していたけどそれ以上の音の良さだった。高音の抜けも、低音の響きも完璧。ピートの怒りのバスドラの腹への響き方すごかった。

席がめちゃくちゃ良くて、3列めセンターを引き当ててしまい、衣装の衣擦れとか、ちょっとした移動の靴音とか聞こえたし、暗転でも目を凝らしたら立ち位置にスタンバイする演者の姿が見えたりしてたいへんだったァ

あとはもうお芝居の熱をダイレクトに浴びる、という感じで、特に加藤ジョンさんの感情でバッシバシに殴られて圧倒されてしまった。

f:id:shishimaru_j:20230603191610j:image
f:id:shishimaru_j:20230603191613j:image

市民会館シアーズホーム夢ホール

去年の夏にお隣の熊本城ホールのA.B.C-Zのコンサートへ行ったので、迷わず行けました。今回の上演会場ではいちばん古い?かな。音の抜けとかは兵庫の会場を経験してしまうと物足りないところはあったけど、これはこれで地下のライブハウス感というか、雰囲気は感じられたので良かったです。ゴールデンウィーク終盤の日程だったけど、2日とも生憎の雨でしたね…

3階席の後方センター(ガラガラだった…泣)と1階席最上手からの観劇。

2日めの加藤さんの歌う"Love Me Tender"がエモーショナルすぎてえぐすぎて忘れられない…大楽を除けばこの日の公演がいちばん好き。

f:id:shishimaru_j:20230603191641j:image

枚方市総合文化芸術センター

ここもめっちゃ綺麗で素敵な会場だった!上演会場の中では私はここの音がいちばん好みでした。

唯一の下手側(2階席)からの鑑賞。角度が違うだけで見え方が全然違うのですごい新鮮だった。この日、インドラクラブで女の子とイチャつくシーンで、戸塚スチュが相手の背中のファスナーをスッと下ろしてて…「ぎゃー!!」と思ってたらそのあと上手く上げられず手こずっていて苦笑いしてて可愛かった笑 楽しそうだったなww たぶんファスナー下ろしたのここだけっぽい笑

f:id:shishimaru_j:20230603191709j:image
f:id:shishimaru_j:20230603191705j:image

・東京建物Brillia HALL

出ました悪名高いブリリアホール!前評判が悪すぎて逆にめっちゃ楽しみだった笑 私が昼公演で当てたFC席が2階の謎席で(R席)、ここ音響ヤバいしマジ何も見えん死の席、的なレビューも見かけたのもあってワクワクしてたんですけど(性悪)、一部改修されて改善していたんですね。全く問題ないどころか、足元も広いし、視界は遮るものないし、ライブシーンでスチュが上の方の席を見上げて手を振ったりする時、目が合ったような錯覚を起こせるいい席だった。(よかったね)角度が付いているので、視界の端にお客さんが盛り上がってるのも同時に見れるので、ライブに来た感いちばんある席だった!

f:id:shishimaru_j:20230603191742j:image
f:id:shishimaru_j:20230603191749j:image

千穐楽、カーテンコールの演奏が2曲もあった。1曲めの"Johnny B. Goode"が終わった後、加藤さんが「このままじゃ終われねえだろ!!さち子さん(演出)、エピー、ごめん!笑」って言って"Rock and Roll Music"!さすがにフー!!ってめっちゃ叫んじゃった。

(2曲めを演る前、加藤さんが「あの曲演るぜ!」って言ったら辰巳くんが「えっ…?どの曲!?」ってキョトンとしていてウケたし、結局加藤さん以外のメンバー全員何演るか分かってなくてみんなで耳打ちし合ってた笑 おもしれー男たち)

キャストのみなさんがテンション上がって客席降りて通路を駆け回ったりしていて、めっちゃハッピーな空間だった。最後に銀テープがパン!と飛んで、完全にツアーファイナルでしたね。出演者にも銀テが飛ぶことは伝わっていないサプライズだったようで、戸塚くんが特攻の音にめっちゃびっくりしてて可愛かった笑

 

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

f:id:shishimaru_j:20230603191854j:image
f:id:shishimaru_j:20230603191847j:image
f:id:shishimaru_j:20230603191851j:image

プレビュー前日に伺った笹塚のFAB4ギャラリー『レット・イット・ビー』さん。ちょうどBACKBEATの上演に合わせてスチュ関連の展示をされていました。(撮影許可取ってます)ビートルズのグッズもポップで可愛かったし、小さな部屋にビートルズ愛がたくさん詰まった素敵なギャラリーでした。

個人的な楽しみとして、観劇日には必ずレザージャケット(バクビのために買ったw)とマーチンで行く、と決めていて、それで毎回コーデ組んでたのも楽しかった。プレビューでは結構レザージャケットの方いたのに、大千穐楽には私以外全然見なくなってた(それはそう、クソ暑い)けど楽しかったのでオッケー。

 


あー楽しかった!!!!!!

舞台『午前0時のラジオ局』観劇記録

観劇日

3月21日 @ 長崎 長崎市民会館文化ホール

f:id:shishimaru_j:20230330173617j:image

舞台『午前0時のラジオ局』公式サイト|公演日程やチケット情報

一応長崎県民なんだけど、初めて来た長崎市民会館。めちゃくちゃ古い建物だなあ…と思って後で調べたら築49年とかだった。大先輩やんけ。中もかなり年季が入っていて、ものすごく雰囲気がありました。会場の佇まいと作品がすごく合っていたな〜と思います。古い会場ほどマッチする気がする。

f:id:shishimaru_j:20230330173813j:image

私は一般でチケットを買ったので2階席でした。せっかくだから、と長崎在住の友人を誘っての観劇。

下手寄りの席だったんだけど、ステージセットが少し下手側に向かって斜めに配置されていたので、真ん中よりも下手側の方が気持ち正面になるという不思議な配置。(でもこれにはちゃんと意味があった!!)

 


福ちゃんのお芝居も、文ちゃんのお芝居も初めて観ました。お2人のことは、A.B.C-Zのバラエティ番組にゲストに来たりしていたので、普段の感じとかは分かるんだけど、お芝居があんなに自然で上手だなんてほんとにびっくりしました。2人とも声がすごく良いっていうのもあるし。文ちゃんの標準語めっちゃすてき!

 


途中休憩なしの1時間50分。全体的にテンポよく進むお話は、後半にかけての緩急が本当にすごい。

福ちゃん演じる陽一って本当に幽霊なの?あれ?やっぱり冗談?と惑わされたり、ちょくちょく挟まれるアドリブやセリフのくすぐりに笑えて、みなさんの熱演にめちゃくちゃ泣ける…観劇後は感動で胸があったかく優しく、とても幸せな気持ちになる素晴らしい舞台でした…!次の日が平日じゃなきゃ絶対増してた…また観たいよ〜再演待ってます!!!!!

 

あらすじ

地方局の新米アナウンサー・鴨川優は、テレビからラジオの担当に異動となり憂鬱な気分を抱えていた。そんな矢先に、やたらと陽気なディレクター・蓮池陽一から突如「午前0時に始まる新番組」の司会に抜擢される。さらに、番組の初オンエアに向けて準備を行っていたある夜に突然の豪雨で孤立した村へ災害情報を流すという大役を担うことに。
そんなドタバタの中で陽一のとんでもない秘密が発覚する。実は陽一は、30年前に亡くなっていて、若い姿のまま深夜の番組を担当する幽霊ディレクターだった!
アシスタントに山野佳澄も加わりいよいよ新番組がスタートするが、オンエア直後から番組内で次々と不思議な出来事が起こるようになり・・・。

(公式サイトより引用)

ラジオのお便りや、キャラクターの回想シーンなどでみなさん1人何役かを演じるんだけど、中でも全3役を演じ分ける福ちゃんがすごい。("すごい"でまとめたくないんだけど圧倒的に語彙力が足りない…)

はじめ浮遊霊として語られ、観客や優(文ちゃん)には見えない、学生時代に亡くなった優の同級生・沢田の仲介役を陽一がしていたかと思えば、会話の中で自然に沢田として優と対話を始める。立ち位置を変えながらグラデーションのように役が移り変わり、それがとても自然だったし、何より「あっ今沢田くんになった!」って誰でもすぐ分かる福ちゃんの演じ分けがすごすぎた。

セットの不思議な配置の謎も陽一→沢田になった瞬間に解けました。沢田は直前の陽一のセリフから、190cm超えの高身長の人物ということが分かるのですが、ステージセットの特殊な配置によって、2人が並んだ時に沢田(福ちゃん)の身長が優(文ちゃん)と比べてかなり(20cm以上)高いように錯覚するんですよね。フラットなはずのステージが、セットの配置でちょっと上手側に傾斜がついたように見えるので、陽一と優ではなく、沢田と優が会話をしているように見えるという…文章ではなかなか伝わりづらいのが歯痒いけど笑 ステージセットも含めて緻密に演出されているのが分かってめっちゃ感動しました。(ちなみにこのことを観劇直後に友人に大興奮で話したら全然気づいてなかった笑 そんくらい細かい演出)

 


あと、長崎という土地で観られたことにすごく意味を感じたシーンもありました。

話は少し逸れますが、長崎県民って、年齢問わずたぶんどの世代でも"原爆"という言葉を心の奥底ににずっと忘れないよう刻んでるんですよね。もちろん私も当時を経験したわけではないけど、小さい頃から平和学習という形で原爆のことを教えられてきたので。8月9日は夏休み中ですが、毎年登校日となっていて、全校生徒平和学習の授業を受けていました。(今もなのかな?)また、大人になってからも11:02にはどんな状況にあっても(たとえば車に乗っていたとしても路肩に車を停めて)サイレンの間黙祷をする県民なんですよね。作者である村山さんが長崎出身ということもあって(そして現役の長崎のアナウンサーさん)、戦争に関するエピソードを入れていたんだと思うけど、予想だにしていなかったので思わずグッと身体に力が入ったのが自分でも分かりました。

ラジオ局に届いた年季の入ったフルートにまつわるエピソード。福ちゃんがお便りをくれたリスナーの旦那さん役を担ったのですが、ここでのお芝居が本当にすごかった…戦争で命を落としたはずの旦那さんと再会する話だったんだけど、奥様役のかすみちゃんとのかけ合いが本当に辛くて…会場からもすすり泣く声が至る所から聞こえました。(私も例に漏れず泣いてた)

作者さんの出身地とはいえ何で東京、大阪ときて長崎なんだろう珍しいな〜と思っていたんだけど、一部ではあるけど戦争や原爆に関するエピソードを長崎という土地で上演することには大きな意味があるよね。ほんと観に行ってよかった…

あと、福ちゃんの長崎弁がめっちゃ上手だった。私たちより上のじいちゃん世代が使う長崎弁だったんだけど、「え?福ちゃんってこっちの人だったっけ?」ってなったくらいガチで上手かった。地元じゃない人が使う方言って、微妙にイントネーションとかニュアンスが違ったりしていて違和感があるものなんだけど、それが一切なかった。よくイメージで言われる九州弁でも博多弁でもなく、""長崎弁""!福ちゃんってどこまでもすげえ。

作中ではラジオのお便りに沿っていろんなエピソードが語られていたり展開されたりしていて、お話とお話がリンクしていたり伏線回収のようなシーンが続くんだけど、唯一このフルートのエピソードだけは独立していたし、フルートがその後誰の手にどんな風に渡ったのかなどは描かれず、未来に繋がる感じで終わったんですよね。フルートのその後が気になります。続編やりましょう?


現在では陽気に振る舞い飄々としている陽一だけど、事故に遭い、自分は亡くなって幽霊になってしまうがラジオ局の建物からは一歩も出られず、病院で眠り続けている奥様には会いにすら行けなくてもがき苦しんでいる回想シーンも印象的でした。絶望して、立ち直って現在に至るまで一体どんな過程を経てきたのか…。明言はされないので行間を読ませるというか、観客側が想像するしかないんだけど、30年か…とちょっとくらくらしました。30年の重みを感じてからの現在のシーンで明るい陽一を見るとまた違ったように見えてくる。もうほんと構成が素晴らしいんだよな…

 

ラストは30年間眠り続けた結果亡くなってしまった奥様と、その奥様に聴かせるためにラジオを続けていた陽一も一緒に行ってしまうんだ…とさみしさと感動で泣いて終わるかと思いきや、いや残るんかい!まだラジオ続けるんかい!!!というまさかの結末笑 きっと観客みんな優とおんなじ気持ちだったしおんなじ顔してた笑 幕が降りる瞬間は泣きながら笑って拍手してました。なんて素敵な作品!

 

この日は作者である村山アナと福ちゃん、文ちゃんの3人で終演後アフタートークもありました。

村山アナの紹介で出てきた福ちゃん文ちゃん(コンビ名みたいw)、3つ並べられた椅子のどこに誰が座るのか譲り譲られワタワタ…w トークも終始ゆるっゆるで笑 終わってはける時も、上手にはけるのか下手にはけるのかワタワタ…w 文ちゃん最初違うところにはけようとして福ちゃんに連れ戻されたりして、最後まで可愛いお2人にずっとニコニコしちゃいました。

仲が良いのがよく伝わったんだけど、作中でも、ここ多分アドリブなんだろうな〜ってところで思わず笑っちゃったりとかしてたので、舞台を降りても良い関係なのって作品にも良い影響がみえるよなって改めて感じた。

 

長崎って舞台が上演されることってあんまりなくて。たとえば福岡だったら博多座とか定期的に舞台が上演されたりしているし、地方公演しますよってなった時は大体九州公演は福岡でやることが多いんですよね。なので"舞台を観に行く"っていうことがあまり日常として根付いていない土地だと思うんだけど、それでもほとんど満席に近い座席の埋まり方をしていたし、アフタートークで福ちゃんが「長崎の方どのくらいいらっしゃいますか?」って聞いた時に8割方手を挙げられていたのがなんか嬉しかったです。長崎の人に見てもらえてよかったなって思う。(私も一応長崎の人だけど、ずいぶん長いこと住んではないからさw)

 

最後に、これはジャニオタあるあるじゃないかなと思うんだけど、作中で陽一が優のことを「優!」って呼ぶ時、脳内変換で「YOU!」ってしちゃってたなっていうどうでもいいこと言っとく。きっと私だけじゃないはずだと信じて、、、、

f:id:shishimaru_j:20230330180234j:image

音楽劇『逃げろ!〜モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ〜』観劇記録

観劇日

2月10日(初日) @福岡 キャナルシティ劇場

nigero-stage.com

あらすじ

聖職者でありながら、女好き、ギャンブル好きのダ・ポンテは、ヴェネツィアを追われ、ウィーンに逃げ出す。だが抜け目ないダ・ポンテはそのとき、オーストリアの宮廷作曲家サリエリ宛の紹介状を手に入れていた。サリエリは、時のオーストリア皇帝ヨーゼフ2世に篤い信頼を受けていた人物で、当時のウィーン・オペラ界随一の実力者であった。ダ・ポンテは、サリエリに取り入り、ひいてはヨーゼフ2世の庇護にも預かろうと考える。ヨーゼフ2世は、イタリア・オペラを好んでおり、サリエリもイタリア人。
サリエリは、ダ・ポンテの狙い通り、親身になってダ・ポンテの面倒を見た。そしてダ・ポンテは、ついにヨーゼフ2世の寵愛も勝ち取るのであった。そして、モーツァルトのオペラの台本を書くことになる。
最初にモーツァルトの『フィガロの結婚』が成功したことで、ダ・ポンテは名声を獲得。ダ・ポンテ自身も天才であると思い込んだ。だが、本物の「天才」モーツァルトとの作業は、自分がいかに凡人であるかを思い知らされるものであった。対照的なふたりがドタバタとぶつかり合いながらも、勢いに乗ったダ・ポンテは、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』、『コジ・ファン・トゥッテ』を完成させ、この世の春を満喫するのであった。
だが、奢れるものは久しからず。ヨーゼフ2世の逝去と共に、人生の風向きが変わっていく…。

さぁ、ダ・ポンテ、"逃げろ"!

公式サイトより引用

初日が福岡だなんて嬉しい限り!あんまないことだよね、珍しい。でも初日でいきなり遠征、いきなり地方公演だから、出演者のみなさんやはっしーは大変だったろうな…と思う。2日前には地元のラジオにも出演していて、トータルだとたぶん1週間くらいはこっちにいたのかな?合間に美味しいものとか食べられたりしていたらいいなあと思いました。

キャナルシティ劇場には前回のスワンキングで一回来たことあるくせに、1フロア下の無印に迷い込み店内をウロウロした後、無事辿り着きました。いやキャナルシティ劇場、めっちゃムズくね、、、私だけ??行き先看板に劇場こっちだよ→って書いてあるのにそこにはないの、トラップだと思うの…(シンプルに文句)

f:id:shishimaru_j:20230227221701j:image

突然完全にどーでもいい話するけど、この日の昼間に何かの番組の再放送やってて、菊池風磨くんがそうめんの神様みたいな人にそうめんを振る舞われる、みたいな内容で。手延べそうめんと普通のそうめんの違いについて映像付きの説明があったんだけど、ちょうどその手延べそうめんを作る様子とステージセットが酷似していて(個人の感想です)、私はずっと「手延べそうめん…」と思いながらセットを眺めていました(は?)

f:id:shishimaru_j:20230227221716j:image
(手延べそうめんのフリー素材写真なんて初めて検索したよ)


地元のラジオで、はっしーが「セットがないんです」っていう話をしていたんだけど、本当にそうめんカーテン(命名すな)くらいしかなくて、この後ろにバンドセットが置いてある感じ。

このそうめんカーテンが結構いい仕事をしていて、バンドセットあたりに照明が当たった時に、そこにいる出演者がシルエットになって、演出のすごくいいアクセントになるんですね。シンプルなセットだからこその見せ方だなあと思いました。

 

観劇前と観劇後には、はっしー演じるダ・ポンテへの印象が全く変わりました。あらすじを見る限りだと、ダ・ポンテが女や金にだらしなく至極いい加減な奴で、ただただ面倒ごとからおもしろおかしく逃げる話だと思っていましたが実際はちょっと違う。だらしないのは事実かもだけど、いい加減っていうのは、"良い加減"ってことで、ある意味世渡り上手で、上手い生き方なのかも知れない。そのくらいダ・ポンテの人間性や人としての魅力が素晴らしかったんだろうと思いました。そうでなくちゃカサノヴァやココ、バレッラ(彼も世渡り上手)が周りにいてはくれないはず。

ダ・ポンテとは対照的に、世渡りがあまり得意ではなさそうで、音楽に関しては突出して天才的な才能があるが、それ以外は不器用なモーツァルト。完璧なようでいて、終盤になるにつれ人間的な脆さも垣間見えて、すごく切なくなってしまいました。

対照的な2人だけど、2人でいる時はモーツァルトもとてもエネルギッシュで生き生きとして見えていたので、ダ・ポンテに助けられていた部分もあったのではないか?と思いました。とにかく主演2人の掛け合いがとても楽しかったし、面白かったし、微笑ましかったです。

モーツァルトが、天才は努力だと今にも消え入りそうな掠れた声でぽつりぽつりと溢したシーンが印象的で、隣で何も言わずにただ聞いているダ・ポンテの瞳がだんだん潤んできていました。ダ・ポンテがそんなモーツァルトに対して、「ヤバくなったら…逃げろよ」と言った最後のセリフ。まさかこんな感じのタイトル回収になるなんて誰が想像しただろうか…"逃げる"ってネガティブな意味に捉えられることの方が多いけど、人生においては逃げてもいい時、逃げた方がいい時ってあるんだよね。自分自身を追い込んでしまった大切な友人にかけた言葉だったなんて…

 


佐藤流司さん。2.5次元俳優さんのお芝居を初めて観ました。モーツァルト役を"演じている"という言葉がしっくりこないくらい、そのままの自然体でステージに立っている方でした。

役を脱いだご本人は一体どういう方なんでしょう…?佐藤さんが普段どんな感じなのかを全く知らないっていうのもあるけど、決められたセリフを言ってたって本当なのか…?あれ終始ご本人のままだったのでは…?台本、あったの…?マジで…?ってなった。あんなにお芝居(役)とご本人との境界線を全く感じることのない方って初めてだったかも知れない!だから観劇後に「どっからどこまでがセリフで、どっからがアドリブだったんだろう?」って不思議な感覚になった。それくらいすごい。"役を生きる"をまさに目の当たりにした気持ちでした。声もすごく良いですね。中性的なお顔立ちをされているけど、低くて渋めの声をお持ちで素敵でした。またどこかでご一緒できたらいいなあ。

 


はっしー。今回もとにかくビジュが素晴らしい…!あのポニテはつけ毛なのかな?すごく似合ってて、ステージに出てくる度に歓声を抑えるのが大変でした…やっぱり脚が3mある

息を吐くように嘘をついたり、情感たっぷりに詩を諳んじたり、天性の人たらしなんだろうなあ…と思えるようなセリフ回ししたり、とても魅力的なダ・ポンテをのびのびと演じてました。

サリエリに脚本を再三に渡って却下されるシーンで、いろんな返事をするところ、言い方や表情も全部違って面白かったし何より可愛かったです笑 

「ハイ!」「ハイ…」「ハイ泣」「…ハイ」「ハイッ」

(まあ文字では表せないわな〜)

はっしーが同世代の同性の方と一緒に主演するのって結構珍しいんですかね?心なしかスワンキングの時よりも全体的にリラックスしていた感じがしました。でもセリフというか、説明セリフがすごく多くて、めちゃくちゃ喋るんですよね。覚えるの大変そうだな…とシンプルに思ったけど、アドリブパートやモーツァルトの謎の空虚タイムみたいな余白の部分(これが本当に楽しかった)もあったから、観ているこちらも心地よい緩急の中で観劇ができたように思います。

 


"音楽劇"というジャンルを観劇したのは初でした。ミュージカルとはどう違うんだろう?と思いながらの観劇でしたが(そして特に調べずに観に行ったw)、明確に違う点としては、"作品の核となる部分が歌では表現されない"ってところなのかな〜と素人ながら感じたんだけど、観劇後に改めて調べたら大体合ってました笑

ミュージカルは、キャラクターの心情やその変化だったり、物語自体を歌唱主体で動かしていくイメージがあるけど、音楽劇は、たとえばテレビドラマなどで言う挿入歌とか劇伴みたいな、ストーリー自体を大きく動かすものではないけれど演出としてあるもの、を実際に歌っているって感じに捉えました。

この違いがあるから、観客としてのスタンスが結構変わってくると思うんですよね。(他の音楽劇でもあんな感じなのかな?それはわかんないんだけど)

ミュージカルは完全に受取り手側に回らないと、物語自体を理解できないと思うんだけど、音楽劇は双方向コミュニケーション(ライブやコンサートに近い)のように思えるので、手拍子だったり、作品によっては歓声も演出の一部みたいになるのかも知れない。

初日だったこともあるし、この違いがわからなくて、私も含め観客のみなさん控えめというか、「手拍子しちゃっていいのかな…?」ってなってたと思う。福岡の人間はノリが悪いとか、盛り上がってなかったわけじゃないんですよ!!ただ戸惑っていただけなんです!!と出演者の方々には伝えたいです…笑

観劇直後のツイートには書いたけど、大千穐楽には音楽パートがライブみたいな盛り上がりになっていたらいいなあ。

ダ・ポンテ!ダ・ポンテ!ダ・ポンテ!ダ・ポンテ!

f:id:shishimaru_j:20230227222229j:image



⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

初日スペシャルカーテンコールレポ

トーク全部を覚えているわけではないので、覚えてるやりとりを順不同で書いております!でもだいたいこんな感じだったと思う

 


橋本「…何から話しましょうか?」

佐藤「とりあえず自己紹介したいっす」

橋本「いいね!やろう!」

佐藤「モーツァルト役の佐藤流司です」

橋本「ダ・ポンテ役の橋本良亮です〜(ペコ)」

 


佐藤「こういうスペシャルなカーテンコールっていうのは、本来なら平日昼間とか、中日とか…(※チケットが売れにくい日)お客様に来て頂くためにやるものなんですけど、まさかの初日にやる?っていう笑」

橋本「それは"文句"ということでよろしいでしょうか!?笑」

佐藤「笑」

 


橋本「今回セットがこんな感じで。ないんですけど。今までありました?セットなしっていうの。」

佐藤「いや〜ないですね。階段だけとかはありましたけど…ここまでないのは…。なんか、手どうしていいかわからない時ありません?笑」

橋本「そう!この衣装さ、ポケットがないのよ!(手突っ込んだりとかできない)後ろにもないの!」

佐藤「それは"文句"ということでよろしいでしょうか!?」

橋本「笑 明日から(ポケット)付けといてください!」

 

 

 

橋本「きょう初日なんですけども…我々めちゃくちゃ通してやってますから笑 初日な感じがしないよね笑」

佐藤「もう完成形に近いですよね。」

橋本「そうだよね!もう20回くらい通しでやってる。公演(全16公演)よりやってるから笑」

佐藤「今回情報量すごい多いですよね。バーってめちゃくちゃ(台詞)喋りますし…」

橋本「だから皆さんがついてこれてるかどうか心配なんですよ。それはもうTwitterとかで笑 あとで書いといてください笑」

 


佐藤「僕パンフレットの時のインタビューで、稽古場がピリついてるって言ってたんですけど、あ、読んでくれたら分かるんですけど…」

橋本「あれ(インタビュー受けたの)3日目とかだったからね」

佐藤「今はとてもいい雰囲気の中やらせてもらってます」

橋本「流司とも仲良くさせてもらっててね。」

佐藤「仲良くさせてもらってますね。」

 


橋本「(舞台袖に向かって)他、誰か喋りたい人いますか??」

佐藤「みんな楽屋帰っちゃったかな?」

橋本「あ、ココ(渡邉美穂ちゃん)はいるよ舞台袖に。出てきてもらう?」

(会場拍手)

渡邉「すみません…!ココ役の渡邉美穂です!私、実は舞台に出演するのが4年ぶり3回目とかで…すごく緊張してて…」

橋本「俺らあんまり緊張しないから笑」

渡邉「ですよね…!女性キャストも私1人じゃないですか?だからすごく緊張しちゃって…でもみなさん(客席に向かって)すごくあたたかく迎えてくださって…ありがとうございます!(かわいい)」

 


橋本「今日初日ですが、まだまだ公演続きます!見守っていてください!ありがとうございました〜!」