あなたは夢、あなたは光

guerrilla loveさん観測所です。主に戸塚祥太さんの舞台の観劇記録を書いています。

音楽劇『逃げろ!〜モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ〜』観劇記録

観劇日

2月10日(初日) @福岡 キャナルシティ劇場

nigero-stage.com

あらすじ

聖職者でありながら、女好き、ギャンブル好きのダ・ポンテは、ヴェネツィアを追われ、ウィーンに逃げ出す。だが抜け目ないダ・ポンテはそのとき、オーストリアの宮廷作曲家サリエリ宛の紹介状を手に入れていた。サリエリは、時のオーストリア皇帝ヨーゼフ2世に篤い信頼を受けていた人物で、当時のウィーン・オペラ界随一の実力者であった。ダ・ポンテは、サリエリに取り入り、ひいてはヨーゼフ2世の庇護にも預かろうと考える。ヨーゼフ2世は、イタリア・オペラを好んでおり、サリエリもイタリア人。
サリエリは、ダ・ポンテの狙い通り、親身になってダ・ポンテの面倒を見た。そしてダ・ポンテは、ついにヨーゼフ2世の寵愛も勝ち取るのであった。そして、モーツァルトのオペラの台本を書くことになる。
最初にモーツァルトの『フィガロの結婚』が成功したことで、ダ・ポンテは名声を獲得。ダ・ポンテ自身も天才であると思い込んだ。だが、本物の「天才」モーツァルトとの作業は、自分がいかに凡人であるかを思い知らされるものであった。対照的なふたりがドタバタとぶつかり合いながらも、勢いに乗ったダ・ポンテは、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』、『コジ・ファン・トゥッテ』を完成させ、この世の春を満喫するのであった。
だが、奢れるものは久しからず。ヨーゼフ2世の逝去と共に、人生の風向きが変わっていく…。

さぁ、ダ・ポンテ、"逃げろ"!

公式サイトより引用

初日が福岡だなんて嬉しい限り!あんまないことだよね、珍しい。でも初日でいきなり遠征、いきなり地方公演だから、出演者のみなさんやはっしーは大変だったろうな…と思う。2日前には地元のラジオにも出演していて、トータルだとたぶん1週間くらいはこっちにいたのかな?合間に美味しいものとか食べられたりしていたらいいなあと思いました。

キャナルシティ劇場には前回のスワンキングで一回来たことあるくせに、1フロア下の無印に迷い込み店内をウロウロした後、無事辿り着きました。いやキャナルシティ劇場、めっちゃムズくね、、、私だけ??行き先看板に劇場こっちだよ→って書いてあるのにそこにはないの、トラップだと思うの…(シンプルに文句)

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突然完全にどーでもいい話するけど、この日の昼間に何かの番組の再放送やってて、菊池風磨くんがそうめんの神様みたいな人にそうめんを振る舞われる、みたいな内容で。手延べそうめんと普通のそうめんの違いについて映像付きの説明があったんだけど、ちょうどその手延べそうめんを作る様子とステージセットが酷似していて(個人の感想です)、私はずっと「手延べそうめん…」と思いながらセットを眺めていました(は?)

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(手延べそうめんのフリー素材写真なんて初めて検索したよ)


地元のラジオで、はっしーが「セットがないんです」っていう話をしていたんだけど、本当にそうめんカーテン(命名すな)くらいしかなくて、この後ろにバンドセットが置いてある感じ。

このそうめんカーテンが結構いい仕事をしていて、バンドセットあたりに照明が当たった時に、そこにいる出演者がシルエットになって、演出のすごくいいアクセントになるんですね。シンプルなセットだからこその見せ方だなあと思いました。

 

観劇前と観劇後には、はっしー演じるダ・ポンテへの印象が全く変わりました。あらすじを見る限りだと、ダ・ポンテが女や金にだらしなく至極いい加減な奴で、ただただ面倒ごとからおもしろおかしく逃げる話だと思っていましたが実際はちょっと違う。だらしないのは事実かもだけど、いい加減っていうのは、"良い加減"ってことで、ある意味世渡り上手で、上手い生き方なのかも知れない。そのくらいダ・ポンテの人間性や人としての魅力が素晴らしかったんだろうと思いました。そうでなくちゃカサノヴァやココ、バレッラ(彼も世渡り上手)が周りにいてはくれないはず。

ダ・ポンテとは対照的に、世渡りがあまり得意ではなさそうで、音楽に関しては突出して天才的な才能があるが、それ以外は不器用なモーツァルト。完璧なようでいて、終盤になるにつれ人間的な脆さも垣間見えて、すごく切なくなってしまいました。

対照的な2人だけど、2人でいる時はモーツァルトもとてもエネルギッシュで生き生きとして見えていたので、ダ・ポンテに助けられていた部分もあったのではないか?と思いました。とにかく主演2人の掛け合いがとても楽しかったし、面白かったし、微笑ましかったです。

モーツァルトが、天才は努力だと今にも消え入りそうな掠れた声でぽつりぽつりと溢したシーンが印象的で、隣で何も言わずにただ聞いているダ・ポンテの瞳がだんだん潤んできていました。ダ・ポンテがそんなモーツァルトに対して、「ヤバくなったら…逃げろよ」と言った最後のセリフ。まさかこんな感じのタイトル回収になるなんて誰が想像しただろうか…"逃げる"ってネガティブな意味に捉えられることの方が多いけど、人生においては逃げてもいい時、逃げた方がいい時ってあるんだよね。自分自身を追い込んでしまった大切な友人にかけた言葉だったなんて…

 


佐藤流司さん。2.5次元俳優さんのお芝居を初めて観ました。モーツァルト役を"演じている"という言葉がしっくりこないくらい、そのままの自然体でステージに立っている方でした。

役を脱いだご本人は一体どういう方なんでしょう…?佐藤さんが普段どんな感じなのかを全く知らないっていうのもあるけど、決められたセリフを言ってたって本当なのか…?あれ終始ご本人のままだったのでは…?台本、あったの…?マジで…?ってなった。あんなにお芝居(役)とご本人との境界線を全く感じることのない方って初めてだったかも知れない!だから観劇後に「どっからどこまでがセリフで、どっからがアドリブだったんだろう?」って不思議な感覚になった。それくらいすごい。"役を生きる"をまさに目の当たりにした気持ちでした。声もすごく良いですね。中性的なお顔立ちをされているけど、低くて渋めの声をお持ちで素敵でした。またどこかでご一緒できたらいいなあ。

 


はっしー。今回もとにかくビジュが素晴らしい…!あのポニテはつけ毛なのかな?すごく似合ってて、ステージに出てくる度に歓声を抑えるのが大変でした…やっぱり脚が3mある

息を吐くように嘘をついたり、情感たっぷりに詩を諳んじたり、天性の人たらしなんだろうなあ…と思えるようなセリフ回ししたり、とても魅力的なダ・ポンテをのびのびと演じてました。

サリエリに脚本を再三に渡って却下されるシーンで、いろんな返事をするところ、言い方や表情も全部違って面白かったし何より可愛かったです笑 

「ハイ!」「ハイ…」「ハイ泣」「…ハイ」「ハイッ」

(まあ文字では表せないわな〜)

はっしーが同世代の同性の方と一緒に主演するのって結構珍しいんですかね?心なしかスワンキングの時よりも全体的にリラックスしていた感じがしました。でもセリフというか、説明セリフがすごく多くて、めちゃくちゃ喋るんですよね。覚えるの大変そうだな…とシンプルに思ったけど、アドリブパートやモーツァルトの謎の空虚タイムみたいな余白の部分(これが本当に楽しかった)もあったから、観ているこちらも心地よい緩急の中で観劇ができたように思います。

 


"音楽劇"というジャンルを観劇したのは初でした。ミュージカルとはどう違うんだろう?と思いながらの観劇でしたが(そして特に調べずに観に行ったw)、明確に違う点としては、"作品の核となる部分が歌では表現されない"ってところなのかな〜と素人ながら感じたんだけど、観劇後に改めて調べたら大体合ってました笑

ミュージカルは、キャラクターの心情やその変化だったり、物語自体を歌唱主体で動かしていくイメージがあるけど、音楽劇は、たとえばテレビドラマなどで言う挿入歌とか劇伴みたいな、ストーリー自体を大きく動かすものではないけれど演出としてあるもの、を実際に歌っているって感じに捉えました。

この違いがあるから、観客としてのスタンスが結構変わってくると思うんですよね。(他の音楽劇でもあんな感じなのかな?それはわかんないんだけど)

ミュージカルは完全に受取り手側に回らないと、物語自体を理解できないと思うんだけど、音楽劇は双方向コミュニケーション(ライブやコンサートに近い)のように思えるので、手拍子だったり、作品によっては歓声も演出の一部みたいになるのかも知れない。

初日だったこともあるし、この違いがわからなくて、私も含め観客のみなさん控えめというか、「手拍子しちゃっていいのかな…?」ってなってたと思う。福岡の人間はノリが悪いとか、盛り上がってなかったわけじゃないんですよ!!ただ戸惑っていただけなんです!!と出演者の方々には伝えたいです…笑

観劇直後のツイートには書いたけど、大千穐楽には音楽パートがライブみたいな盛り上がりになっていたらいいなあ。

ダ・ポンテ!ダ・ポンテ!ダ・ポンテ!ダ・ポンテ!

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初日スペシャルカーテンコールレポ

トーク全部を覚えているわけではないので、覚えてるやりとりを順不同で書いております!でもだいたいこんな感じだったと思う

 


橋本「…何から話しましょうか?」

佐藤「とりあえず自己紹介したいっす」

橋本「いいね!やろう!」

佐藤「モーツァルト役の佐藤流司です」

橋本「ダ・ポンテ役の橋本良亮です〜(ペコ)」

 


佐藤「こういうスペシャルなカーテンコールっていうのは、本来なら平日昼間とか、中日とか…(※チケットが売れにくい日)お客様に来て頂くためにやるものなんですけど、まさかの初日にやる?っていう笑」

橋本「それは"文句"ということでよろしいでしょうか!?笑」

佐藤「笑」

 


橋本「今回セットがこんな感じで。ないんですけど。今までありました?セットなしっていうの。」

佐藤「いや〜ないですね。階段だけとかはありましたけど…ここまでないのは…。なんか、手どうしていいかわからない時ありません?笑」

橋本「そう!この衣装さ、ポケットがないのよ!(手突っ込んだりとかできない)後ろにもないの!」

佐藤「それは"文句"ということでよろしいでしょうか!?」

橋本「笑 明日から(ポケット)付けといてください!」

 

 

 

橋本「きょう初日なんですけども…我々めちゃくちゃ通してやってますから笑 初日な感じがしないよね笑」

佐藤「もう完成形に近いですよね。」

橋本「そうだよね!もう20回くらい通しでやってる。公演(全16公演)よりやってるから笑」

佐藤「今回情報量すごい多いですよね。バーってめちゃくちゃ(台詞)喋りますし…」

橋本「だから皆さんがついてこれてるかどうか心配なんですよ。それはもうTwitterとかで笑 あとで書いといてください笑」

 


佐藤「僕パンフレットの時のインタビューで、稽古場がピリついてるって言ってたんですけど、あ、読んでくれたら分かるんですけど…」

橋本「あれ(インタビュー受けたの)3日目とかだったからね」

佐藤「今はとてもいい雰囲気の中やらせてもらってます」

橋本「流司とも仲良くさせてもらっててね。」

佐藤「仲良くさせてもらってますね。」

 


橋本「(舞台袖に向かって)他、誰か喋りたい人いますか??」

佐藤「みんな楽屋帰っちゃったかな?」

橋本「あ、ココ(渡邉美穂ちゃん)はいるよ舞台袖に。出てきてもらう?」

(会場拍手)

渡邉「すみません…!ココ役の渡邉美穂です!私、実は舞台に出演するのが4年ぶり3回目とかで…すごく緊張してて…」

橋本「俺らあんまり緊張しないから笑」

渡邉「ですよね…!女性キャストも私1人じゃないですか?だからすごく緊張しちゃって…でもみなさん(客席に向かって)すごくあたたかく迎えてくださって…ありがとうございます!(かわいい)」

 


橋本「今日初日ですが、まだまだ公演続きます!見守っていてください!ありがとうございました〜!」