あなたは夢、あなたは光

guerrilla loveさん観測所です。主に戸塚祥太さんの舞台の観劇記録を書いています。

舞台『ジャニーズ伝説2022 at Imperial Theatre』観劇記録

観劇日

12月9日(夜) @東京 帝国劇場

12月10日(昼)@同上

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観劇した日からかなり日が経っているのに大事にしすぎて年を越し、今日までかかってしまった…

あと通販していたパンフレットをやっと受け取ったのがついこないだっていう…笑

グッズはあとでもいいけど、パンフはさすがに観劇前とか直後に読みたかったよ!!(コロナめ)

 


私がえび担になったのはA.B.C-Zがデビュー10周年に入ってからなんですが(それまではすの担だった)、去年(2021年)えび座のチケットをご厚意で譲って頂いたというのもあって、えび座自体は2度目の観劇でした。

 

(ちなみにこの2021年のえび座が私のジャニーズ初現場!初めての現場がジャニーズ伝説だったことは一生擦っていきたい!笑 どう考えてもジャニオタとして初めて経験する現場としての最適解でしかない)

ただ、ひとつ後悔しているのが、えび座2021の感想やメモをどこにも残していなくて(書く気はあったはずなのにバタバタしすぎて書いていないのと、そもそもえび担ではなかったから優先順位があまり高くなかった)、そんな過去の自分をマジぶん殴りたい。

…という前置きをして、無事えび担になって初めて迎えたジャニーズ伝説2022のお話です。

 


ジャニーズ伝説の上演自体は7度目で、2021からA.B.C-Zが演出を任されていたんですね。(知らなかった)帝国劇場に会場が変わったのも2021からだと。前回はたまたま別件で東京にいた日だったし、声かけてもらっただけなんだけど、私めっちゃタイミング良かったんだなあ。

 


初めて観劇した2021と比べると、夏〜秋に開催されたA.B.C-Zのコンサートツアー(ABCXYZ)を体験した後に改めて観るジャニーズ伝説ってまた感じ方が違うな、と思いました。

コンサートと舞台の違いももちろんあるけれど、何ていうか、背負ってるものの大きさが全然違うよね…

ツアーコンサートはデビュー10周年の集大成のような、バラエティ豊かなアニバーサリーコンサートで、A.B.C-Zが主役だった。

ジャニーズ伝説という作品においてのA.B.C-Zは、間違いなく座長で"主演"なんだけど、"ジャニーズ"という長く続いている大きな伝統の中にある1つのグループとしてのみ存在していて、主役ではないというか。

"ジャニーズ事務所所属アーティストA.B.C-Z役"に徹していたというか…表現難しいけど…

自分たちの個性を出す、グループの色を打ち出す、というよりかは、表に出ながらにして伝説を伝える裏方に回っているにすぎない存在っていう感じがしました。

 


A.B.C-Zはそれぞれ個人でのお仕事が多いグループだと思っているんですが、(戸塚くんも去年は『六本木歌舞伎2022』に始まり『フォーティンブラス』の再演、『今度は愛妻家』と舞台を3本演っている)えび座はそれぞれ個人のお仕事で経験してきたことや得たものを年に1回持ち寄って創り上げているようなイメージがすごくあります。五関くんがインタビューでも、「それぞれ個人で仕事をしていて、稽古に全員が揃わない日もあるけど、年に1回、5人で舞台ができるって大事だな」って言ってたのもまさにその通りだよなあと。

 


2022はショー要素が特に強い気がしました。一幕二幕に完全に分けたのもあってかそれぞれの印象がパキッと変わっていて良かった。一幕は戸塚くん去年より踊るシーン多い気がする!(光GENJI伝説が追加されたのが今回の大きな変更点だと思うけど、ジャニーズ豆知識的な感じでの挿入だったのが面白かった笑)

※〜気がするって言ってるのは去年の観劇記録取ってないから(愚か)

本編とジャニーズメドレーが繋がっていた2021も、「伝説は今も続いている!」感があって良かったけどね。

あと個人的な話で言えば前回はA.B.C-Zの曲全く知らん状態で観てたんだけど(予習して行けよって話やけど)、好きになってたくさん曲聴いてからジャニーズ伝説で改めて聴くNever My Loveの素晴らしさと、初代ジャニーズのあの大切な曲をA.B.C-Zが託された意味、そして今えび座でジャニーズ伝説をやっていることがいちファンとしてとても誇らしいことだなあと心から思う。

 


今年はお祝いごとが重なる、スペシャルな公演だったなあと本当に思う。えび座10周年というアニバーサリー公演でもあり、座長であるA.B.C-Zはデビュー10周年。また、作中で語られる初代ジャニーズやジャニーさんが叶えられなかったグループでの全米デビューを、今年全世界配信という形でTravisJapanが叶えた年っていう激アツイヤー!マジでスペシャルアニバーサリーだよな今年。

まさにエンドレスドリームジャニーズ!!!!!!!!!(We are ジャニーズ社歌にせんか????)

そんな特別な公演を観劇できたことは本当に幸せなことだと思う。ありがたいねえ

トラジャのファンではなくても、デビューや音楽番組で披露されるパフォーマンスを「なんかすごく感慨深い…」と感じられるのはえび座を観たからなんだろうな。(TravisJapanのみなさんデビューおめでとうございます!)

 


このタイミングでRIDE ON TIMEの密着が入ったこともすごく良かったです。上演後の放映ではあったけど、舞台裏のことも映像で知れてすごくありがたかった!

7度目の上演だけれど、稽古をしながら、対話を重ねながら、常にマイナーチェンジ・ブラッシュアップをしていっている様子が見てとれた。

「台本ではこうだったけど、実際はどうだったの?」「じゃあこうしてみようか!」って7MEN侍のみんなと戸塚くんが会話しながら、自分たちの物語にしていっている様子が見られたの嬉しかったなあ。

解散するシーンにしても、初代ジャニーズ役の4人とジャニーさん役の戸塚くんが会話の中で改めてセリフのすり合わせをしたりしていて、7度目でもこんな風にして命を吹き込んでいる舞台なんだなあと思った。

A.B.C-Zはよく自分たちのことを「ジャニーズの中間管理職」って言ったりするけど、歴史ある大所帯の事務所において、先輩を敬うのは当たり前のこととしても、後輩のことも「すごいよ」「カッコいいよ」と普段からとても敬意を払っているのが分かる。

ジャニーズ伝説を一任されたグループとしての矜持だなあと思う。先輩・後輩を含めた全グループへの絶大なリスペクトをもって上演していることがとてもよく分かる。

 


それにしても戸塚くん演じるジャニーさんの喋り方って、どの程度ジャニーさんに寄せてるんだろう?近くで一緒に過ごしてきた戸塚くんだから、やっぱり完コピに近いのかな?これから新しく入るJr.の子たちとかは、ジャニーさんを知らないから、戸塚くんのジャニーさんを観て学ぶのかなあとか思った。

 

 

 

てかさ、ジャニーズ伝説はジャニオタ必修科目にすべきじゃないかって思っちゃうよ…本当に素晴らしいので…

どのグループでもファンクラブ入ったら期間限定でジャニーズ伝説の一幕だけダイジェストで観れるみたいにしたらいいんじゃないか…だめか…知ってる…

この作品を知らないジャニオタが世の中にはたくさんいるんだよなあと思うとちょっと悔しいんですよね。今回の、映像化されないかなあ…期待してます!

 


初代ジャニーズが、もしあの時日本に帰らず、アメリカに留まり成功していたら?あの時解散を選ばなかったら?今のジャニーズってどうなっていたんだろう?と観劇したあとの今でも思う。

ジャニーズ伝説を観ていると、初代ジャニーズが解散し、それぞれの道を選ぶシーンで、「何で」「どうして」「もっとできることがあるはず」と思わず感情移入してしまうんだけど、逆に言うと初代ジャニーズが解散の道を選ばなければ、今のグループはひとつも生まれてないかも知れないんですよね…悲しい話なんだけど、あの時終わりを選んだからこそ、次が生まれたのかもなあとも思います。グループはなくなっても"想い"は今も受け継がれている。ジャニーズってやっぱ最高だな、ジャニーズを好きになって良かったなあと思う素晴らしい舞台でした!また観たい!(チケット取れれば!泣)

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念願の帝劇のカフェにも行けて嬉しかった。(スプーン記念に持って帰れるの超嬉しい!)

 

 

☆☆☆☆☆

12月10日は塚ちゃんのお誕生日当日でした。

2幕のメドレー途中でサプライズがあったので、その様子も残しておきます。

 

V6のサンダーバード終わり(肩宙大成功!)にハッピーバースデーの音楽と、うしろのスクリーンが塚ちゃんのお誕生日仕様に。

"お誕生日""おめでとう""三十六歳"の3つの垂れ幕をそれぞれ持って、出演者全員が登場!

アツヒロさんが黄色の花束を塚ちゃんにお渡し。

 


塚ちゃん「去年もそうだったし、お祝いしてくれるんだろうけど、心の準備が欲しいからするなら前もって言ってね!って言ってたのに誰も教えてくれないの!いつやるの?って聞いても、"知らない"って!誰も教えてくれないからさ、どこでくるかずっとソワソワしちゃって…フリ間違えちゃったよ!笑」

河合「間違えてたねwwwww」※嵐のP.A.R.A.D.O.Xにて※

はっしー「向き合っちゃったもんね笑 えっ!?塚ちゃんこっち見てる!?って笑」

 


下手で"三十六歳"の垂れ幕を持った戸塚くん、まだお祝い終わってないのにおもむろにクルクル丸めだして、どうするのかと思って見てたらそのまま下手側のお客さんに渡して、「君たちが広げてお祝いしてあげて!」的なジェスチャー。終わったら回収しに行ってその子たちに👍してて、マジめっちゃ好きだった(恋)

 

 

 

はっしー「今年の抱負は?」

塚ちゃん「"プロフェッショナル仕事の流儀"に出る!」

河合「おお〜笑」

塚ちゃん「あれに出たらさあ!認められるでしょ、プロって…」

五関「それは俺たちも楽しみだな笑」

 


河合「じゃあ、メドレーの続きに戻ろうか。サンダーバード終わりの位置で!」

(なぜかもらった花束をアツヒロさんに返す塚ちゃん笑)

アツヒロさん「え?あ、後で楽屋に持ってくね!笑」

塚ちゃん「ありがとうございます!」

(アツヒロさんガチ大先輩なのに優しすぎん???)

 


(はけていく他のメンバー、位置に着く塚ちゃんとJr.の子たち)

五関「さっきそんなニヤニヤした顔だった?やるよ!では、メドレーの続きをお楽しみください〜👋」

 


メンバーのお誕生日当日をお祝いできたの、すごく嬉しかった!こっちまで幸せになっちゃった〜生誕って、ええよな…

舞台『今度は愛妻家』観劇記録

観劇日

・10月22日(夜) @ 東京 よみうり大手町ホール

・10月23日(東京千穐楽)  @ 同上

・10月30日(大阪千穐楽) @ 大阪 COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

・11月5日(夜) @ 宮城 電力ホール

・11月6日(大千穐楽) @ 同上

 

東京・大阪・宮城それぞれでの観劇。前回の戸塚くん出演作『フォーティンブラス』で、全ての異なる会場で同じ上演作品を観る面白さに目覚めてしまい、今回もそうしました。

その上、全会場の千穐楽が土日にうまく被ったスケジュールだったので、それぞれの千穐楽を観劇することができました。

たまたまなのかも知れないけど、今回の東京・大阪・宮城ともに、城跡の近くに会場があるんですよね。なんかそういうご縁というか共通点を見つけるのも楽しかったです。(まあほとんど私のこじつけだけど笑)

 

あらすじ

北見俊介(戸塚祥太)はかつての売れっ子カメラマン。が、ある事をきっかけに、1年間仕事もせずいい加減なプータロー状態で、頭の中は最近知り合った女性・蘭子(黒沢ともよ)へのエッチな妄想で一杯になっている。
妻・さくら(三倉佳奈)には、毎日人参茶を与えられ、子作り旅行に行こうとせっつかれ・・・・・・、ああ、この妻さえいなければ・・・と、不穏な事さえ頭をよぎるダメ男である。

俊介の助手・古田誠(浦陸斗)はそんな彼を心配し、贔屓のお店のママ・文太(渡辺徹)も様子を見にやってくる。
誠は、俊介がちょっかいを出そうと考えている蘭子に好意を抱いているが、当然何も出来ず、その蘭子はこの二人の男たちを使って有名になることを考えている。そして、文太は訳ありらしく、得体が知れない・・・・・・。

愛すべきちょっとダメ人間たちが織り成す、カラッと笑えてホロッと泣ける、ちょっとシリアスな物語。

公式サイトより引用 https://www.aisaika2022.com


公演期間が始まる前に、戸塚くんがブログに「原作未読・映画未視聴の方は何も入れずに来た方がいい!」というようなことを書いていたので、初めての観劇前は仰せの通りに過ごしました。(推しに従順なおたくなので)

観てないけど何年か前にトヨエツが映画やってたやつだよね〜とか、雑誌や公式のインタビュー動画、公式サイトのあらすじ以外の情報は極力入れずに観劇に臨みました。

初観劇後、「なるほどな」と戸塚くんが言っていたことに合点がいきました。これは最初は何も情報入れずに観るべき作品だし、終演後会場で販売しているリピチケの列にも納得でした。これは、必ずと言っていいほど2回目を観たくなる。

ただ、個人的な話をすれば、私はとにかく脚本が好みではなくて笑 1回目を観劇した後、「やばい、脚本が全然好きじゃないや…あと4回も観に行く予定あるのに…」と少々絶望していました笑 

結局キャストの皆さんのお芝居や、そこに込められた想いがすべてを超えてくるんですけど。お芝居の面白さってこういうところにあるなあと思います。逆に5回分を確保していた自分グッジョブ!(よかったね)1回では分からなかったかもなあ。


ストレートプレイを観劇するって実は初めてかも知れない…舞台セットが完全に固定で、役者同士の会話を主にストーリーが進んでいく。歌や踊りという、分かりやすいエンタメ要素がないので、役者の表情の変化や台詞に込める感情にとても敏感になるというか。

特に戸塚くんひとりきりのシーンは、台詞もなく、戸塚くんの表情と所作や息遣い、立てる物音…新聞を捲る音だとか、ハサミを扱う音だとか、スリッパの足音だとか…そういうものしかない、すごく静かなシーンでとても印象的でした。キャラクター同士の会話と会話の応戦のなかに挟まれるあのシーンこそがこの作品の肝なのかな。

面白いのが、結末を知った状態で観る2回目からは、この何気ない日常に見えるシーンが、全く違う印象を受けること。

誰がどう見てもクズ男の北見が、実は誰も居ない家で亡き妻・さくらの幻覚と会話したり、さくらとの思い出を手繰り寄せながら日々を過ごしていると知ると、たまらなく苦しくなる。 

「生きてる意味なんてどうせないよ」

「前になんか進まなくていい」

と言って、食事も満足に摂らず、美容院だって行かないから髪の毛は伸ばしっぱなし。生きる気力を、写真を撮る動機を失ってただただ投げやりに、自堕落な生活を送っている。

少し話はズレるけど、先月発売されたA.B.C-Zの新曲『#IMA』のMV撮影のメイキング映像に写っていたのですが、戸塚くん、その時太宰治を読んでたんですよね。撮影は8月中旬頃だと思います。舞台の稽古にもまだ入ってない頃だと思いますが、あの時期に太宰読んでたの知って、結構、いやかなり食らいました笑

私の想像でしかないけど、太宰を読むことが役作りであったとしたら…北見のようなダメ男像を太宰で形作っていたのだとしたら…えっヤバくないか…?あのダメ男感や女性関係のだらしなさ、厭世観やふとした瞬間の虚無感とか、太宰作品からインスパイアを受けたものだとしたらマジしんどい!笑 ってなってしまった。太宰治の、だらしないけど憎めない、一周回って呆れて愛おしさに変わるみたいな感じ。めちゃくちゃ北見俊介じゃんか…まあ私の思い違いかも知れないんですけどね。笑

 

さくらの幻覚と会話、に関して私がパンフレットを読むまで理解ができなかった存在が、サトルとヒトミと大山の3人。唐突に出てくるし、文脈もないように思える(大山は多少あるかな?)。演出の板垣さんのコメントで、

"この物語のヒロインは幽霊ではなく幻覚です。"
"洋服が全て白なのも主人公の記憶の中で、彼女の服の色は曖昧だからです"

公式パンフレットより引用

とあります。サトルとヒトミの服も、全身白…そこで、突然の1人2役の意味が理解できました。白い服を着たさくらを含め、北見の幻覚(妄想)上の存在なので見知った顔と同じ姿形をしている。あれは北見の妄想を見せられていたのか、と。(私がこの脚本を好きになれない理由の大半はこの突然のダサい下ネタ妄想パートのせいだったりする)

それにしても何ともくだらない妄想だなあ…笑 とは思うのですが、この妄想パートには2つの意味(役割)があるんじゃないかなと考えていて。

ひとつは、「クズ男北見のキャラクター付け」。北見のヤロー何考えてんだよって話で笑 ヒトミはさくらに話していた好みの女性をそのまま都合よく具現化しているし、サトルに関してはこんなおかしなテンションのマッサージボーイ実際におらんやろっていう笑 妄想の程度の低さが、いかに北見がどうしようもない男か、というのを際立たせて説明している気がしました。

ふたつめは、「さくらを失った北見の現実逃避」。さくらが弁護士の大山に依頼して離婚調停の準備をしたり、性感マッサージを受けたり、ハニートラップを仕掛けてきたりと、すんごいくだらないんだけど笑 でもそうでもしてさくらが突然いなくなってしまった理由を付けないと、妄想で昇華させないと、どうしてもさくらの死を受け入れられなかったんだと思う。「浮気したんじゃしょうがないよね」「好きな男ができたんならしょうがないよね」って、死別以外の別離にしてしまいたかったのかな、と。同時に、さくらが事故に遭ったあの沖縄旅行の帰り、さくらに行かせてしまった後悔をずっと受け止めきれなかったのかな。

北見が自分以外の何かに責任転嫁しがちな性格は、さくらの「あなたはいつだってそう!すぐ人のせいにする!」という台詞からもよく分かるので、このくだらなさすぎて笑える妄想も、辛すぎて逃げてしまいたくなる北見の行き場のない苦しい気持ちを表しているのかなと思いました。

(文ちゃんによく似た大山だけが白ではなく、はっきりとした黒のスーツなのは、北見と初めて会った時にオカマであることを隠してスーツを着込んで会いに行ったことが北見にとっても印象深くてよく覚えていたからだと思う)

全体を通してこの作品の戸塚くんのお芝居で好きなのは、"静と動"でいうところの"静"の部分がとても好きでした。

「さくらが死んでいることは分かっているけど、分かりたくないんだよ」と言って現実から逃げる北見が、さくらを撮ったはずの写真に何も写ってはおらず、嫌でも現実を突きつけられるシーンなんか、すごく切なく痛々しくて、何度観てもぐっときて、このシーンの戸塚くんのお芝居に毎回息を呑んでしまっていました。台詞は一切ないのに、瞳の動きや、みるみる青ざめるような、一気に現実に引き戻されるような表情の変化が本当にすごい。

っていうか、"動"の部分の北見がマジでクズすぎて!笑 戸塚くん自身はあまり声を荒げたりするタイプではないんじゃないかなあと思うし、矢印を常に自分に向けている人だと感じているので、本当に真逆のタイプの役柄だったなあと思います。同じ台詞なのに、公演ごとに表現が全く違ったりして、"その日その時の北見俊介"を生きていたんだなあと思いました。"毎日が誕生日"だってブログで言っていた通りだった!

2回目以降の観劇は、受け取るこちら側が聞くキャラクターの台詞の重みも変わってくるんですよね、渡辺徹さん演じる文ちゃんなんか特にそうで。

「絶対だな?絶対に私より先に死ぬなよ」と蘭子に凄む文ちゃんの台詞は、すべての事実を知った後では、彼(彼女)の言う単なるオカマトークではなく、子に先立たれた親の切なる願いに変わる。

文ちゃんは、この作品におけるコメディリリーフとも言える存在であり、希望の光みたいな存在だったなあと思う。北見がさくらの幻覚と別れを告げて、これから先どのような人生を送っていくのか、側にいて見守ってくれるような。何か文ちゃんがいるのなら北見は大丈夫かもな!と思っちゃうくらい、不思議な安心感があるキュートな存在だったなと思う。笑わせてくれたし、しっかり泣かせてもくれた。文ちゃんが最後に着ていた喪服、すごく素敵だったなあ。

渡辺徹さんの舞台でのお芝居は初めて観たけれど、1人だけずば抜けてものすごいベテランなのに、それを全く感じさせない方で、柔らかく包んでくれて、あたたかく寄り添ってくれるような雰囲気を持った方だなあと思う。渡辺徹さんが文ちゃんで良かった。何気に誰よりも背が高くてスタイルが良いんですよね。あの大胆なカラーリングのコーディネートを着こなす男性ってなかなかだと思うわ…

誠と蘭子の存在に関しては、なぜこの2人のエピソードを入れたのか?何度か観劇しないと私にはよく分からなくて。

夫婦になる前の、"これから"の未来ある2人として描かれていたのかなという結論に行きつきました。北見が取り戻したくても取り戻せない、大切に思える人を大切にするという当たり前のことをできるような存在。これから先のことは分からないけれど、後悔しない選択をして欲しいという北見の託すような気持ちが伝わりました。どんなに願っても北見の"今度"はもう二度と来ないのだから…

浦陸斗くん、すごくいいお芝居をする子で、本当に驚きました。私が観劇した5回の間でも、ものすごく成長していることが伝わってきました。多分彼が今後一生口にすることのないような台詞もあったりして…笑 結構チャレンジングな役だったので、大変だったんじゃないかなあと想像してしまいます。いや…マジであの歳でよくこの役受けたよなあ…笑

戸塚くんもかなりいい刺激をもらっていたんじゃないかな〜と思います。初めてのジャニーズ以外の外部舞台とのことでしたが、おそらく今後色んなところからお声がかかるのではないかなと思いました。カーテンコールで毎回誰よりも瞳をウルウルさせて出てきてたのが、歳相応って感じでとても可愛かったです。

黒沢ともよちゃんもすごく良かった。声優もやられているとのことで、いちばん声の通りと発声が良かったので、台詞が聞き取りやすかったです。バランス感覚に優れた方なんだなあと思うことが多くて、ハプニングに対する反応も速くて自然だし、等身大の女の子を演じるのがとても上手かった。

生前のさくらとの関わりは一切ないのに、存在感がしっかりあるので、蘭子がいることで途中までさくらが北見の幻覚であることに気付けないんですよね。セットを見た時に遺影みたいな写真飾ってあるな、とまず思うのですが、蘭子の登場時に北見とのやり取りで、さくらの写真に触れてくれるので、"実はさくらは死んでいる"という、この作品の核とも言える事実から観客の気がうまく逸れるギミックメーカーの一部を担っている。

三倉佳奈ちゃんはすごく魅力的に北見さくらを演じていたなと思う。コミカルな動きや台詞の言い回しなんかは佳奈ちゃんだからハマっていたんだろうなと思う。物語の前半で、佳奈ちゃん演じるさくらが笑わせてくれれば笑わせてくれるほど、後半が悲しくてたまらなくなるんだと思う。

実は私たち観客は、さくらが本当はどういう人物であったのか、あまりよく知らないのかもしれないな、と思ったりもする。というのも、さくらにはっきりと色があったのは冒頭だけで、あとは北見の記憶の中の白い服を着たさくらだけ。よく笑い、よく怒り、忘れ物が多く、ウッカリ屋さんだけど愛に溢れた表情豊かで明るい人物であったことは分かるのに、北見のフィルターを通して"よく知っている"と思っているだけで、実はよく知らないのかもしれない。北見が出掛ける時はいつも、最後に見せてくれたあの優しい笑顔で「いってらっしゃい」を言っていたんだろうか。そう考えたら、"すべて幻覚である"という役柄を演じるのってかなり難しかったのでは…佳奈ちゃん、すごい…

舞台の後半にかけて、客席のそこかしこから鼻を啜る音がここまで聞こえる作品もなかなかないんじゃないかなあ?と思う。すごいみなさん泣いてた!私はというと、多少ウルッときたくらいで(しかもお話自体にウルッときたというよりかは、今の戸塚くんの表情めっちゃ泣かせにきてるやんっ!とか、今の台詞の言い方こないだと全然違うっ!とか、そういうところ)、号泣とは程遠いところにいた上に最後まで脚本が好きにはなれなかったという笑 

でも、すごく良い時間でした。このブログの文字数がすべてを物語っていると言っても過言ではない笑

 


☆☆☆☆☆

 


以下は各会場の記録。

 


・東京公演 

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オフィスビルの中にある綺麗な会場。3つの会場の中ではいちばんコンパクトで、作品としてはセットや題材も含めこの会場が最も合っていた気がします。

唯一、開演前にセットとの間に紗幕があり、プロジェクターで公演タイトルと映像が投影されていました。開演の時間になると、ピアノのテーマ曲に合わせて、この会場のためだけに作られた映像(布地にキャストの名前が刺繍されていく、みたいなやつ)が流れてから物語が始まるので、より没入感が出ていたなあと思ったり。結局あれ東京会場だけだったからね!とても素敵だったから体験できて良かったなあと思う。

FCでぶち当てた3列目センター、近すぎて死角があったので、前すぎるのも考えものだな…という贅沢すぎる感想をメモに書いてた。戸塚さんの眉毛メイクが濃くて、シェーディングも濃いめだから別人に見える。

・大阪公演

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めちゃくちゃ綺麗なホール!2019年にできたばかりで、緑を使った外壁だったり、おしゃれだった〜!ぬい撮りしたくなる外壁だった。

開演15分前に会場に着いたら、トイレが1箇所しかないから激並んでて間に合わないかと思った(間に合った)

東京公演に比べて、大阪公演はお客さんがよく声を出して笑っていた印象。そのせいもあってか、コメディーパートはキャストの皆さんノリノリに見えました。大阪出身の浦くんと佳奈ちゃんが特にそう見えたけど、実際どうだったのかな?舞台は舞台上だけではなく、観客を含めたものなんだな、というのを身をもって感じた公演でした。こちら側のリアクションがキャストの雰囲気をも変えてしまうことがあるのかもしれない。特に今マスクで表情見えないし。私が観劇した全5公演でぶっちぎりいちばん好きな回だった。

・宮城公演

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古き良きホールという感じ。3つの会場の中ではおそらくいちばん古い会場。大きくはないエレベーターで7階まで上がらなきゃだったので、スタッフさんも大変そうだなあ…と思いながら列に並んでいた。

宮城公演のお客さんも、よく笑う方が多かった。けど、笑うポイントが大阪と微妙に違ったりしていて興味深かった。何だかあったかい笑い声がする会場だなあと思った。(何だろう、大阪は「アハハ!」で、仙台は「フフフ!」みたいな?伝われ????)

会場の向かい側は、仙台駅へと続くアーケードがあって。週末の夜はたくさんの人で賑わってました。終演後に駅へと向かって歩き始めると、途端にふわふわと不思議な感覚に襲われて、何だかたまらなくなった。北見家でのさまざまな出来事が、あまりにも日常の延長みたいで。いつの間にかあの静かで穏やかな世界に、私も入り込んで居たのかも知れない。騒がしい人混みの方が非日常に感じる感覚。舞台観劇後にこんな風に感じたことは初めてで驚いた。

 

・大千穐楽カーテンコール

作品の印象を守るため、キャストの皆さんとの取り決めで、各地方の千穐楽カーテンコールでは、座長である戸塚くんの「ありがとうございました」以外の言葉は発さないようにしよう、としていたらしく、それ以上のことはありませんでしたが、すべての公演を終えた大千穐楽では、やっと戸塚くんの言葉が聞けました。

また、前日の公式ツイートで、このようなツイートが。

 



"ちょっと楽しいこと"って何だろう?とワクワクしながら大千穐楽を迎えました。

数回のカーテンコールを終え、観客にお礼の言葉を述べたあと、何だかちょっとだけソワソワっとする戸塚くん笑 

戸塚「あの、写真…僕はカメラマンの役だったので…みなさんの写真をですね、撮ろうと思います!」

(ザワっとする会場)

戸塚「あっ!ただ撮るのはこの(セットに置いてあったカメラを持ち出す)インスタントカメラなので…笑」

黒沢「みんな顔ぐしょぐしょだよね、大丈夫かな?笑」

渡辺「顔出したくない人はこう(顔に手をかざす)して笑」

(そのまま舞台上でカメラを構える戸塚くん)

黒沢「上からの方がいいんじゃない?」

(階段の上までサッと上がってカメラを構える戸塚くん)

戸塚「あっ!大丈夫ですこっからだとね、誰が誰だか全然分からないです!笑」

(インスタントカメラで2枚撮ってくれる)

戸塚「保険で2枚撮りましたから。どっちかは大丈夫でしょう!こちらは後日、お渡し…あっ、公式のTwitterに上がるみたいですね。もし(公式Twitterに)上がらなかったら"ダメだったんだな"と思って頂ければ笑」

 



(無事上がりましたね笑)

北見(戸塚くん)に写真撮ってもらっちゃったよー!めちゃくちゃ素敵な企画だった!!客席みんな笑顔で拍手していると、

戸塚「最後に三方礼をさせてくださいっ!」

と戸塚くんが言って、キャストのみなさんと三方礼。何度もカーテンコールでお辞儀をしてくれていたから充分な気がしていたけど、きっちり最後は三方礼で締める戸塚くんが、舞台人としてすごく礼儀を大事にする人なんだなあ、とまたひとつ戸塚くんの好きなところが増えました。

最後の最後にはガッツポーズしてはけていきました。いや〜めっちゃ良かったな、ガッツポーズで終わんの。

ミュージカル『スワンキング』観劇記録

私はネタバレ絶対見ないマンなので、本来ならば観劇当日までネタバレを徹底回避するのだけど、今回に関しては実在の人物を史実に基づいて描いた物語だということで、ある程度は予備知識を入れておいた方が良さそうだな〜と思い(今回入るのは一度だけ、しかも大千穐楽の観劇予定だったため)、話題になっていた大音さんのYouTube動画を予習という形で前日に観てから観劇に臨んだ。


www.youtube.com


www.youtube.com


これが観といて大正解だった。動画の構成も良かった。

第一弾の動画は、題材が高尚に感じてあまり食指が動かないひとも、きっと「おっ?おもろそうやんけ、観てみようかな」ってなるほどだったし、観に行く予定のひともさらに興味が増す内容だった。

("推し活の物語だ!"って言われて「おっ?」てならんおたく、おる?おらんよなあ…)

第二弾の動画は、歴史的背景や当時の世界情勢を主に、とても簡単にわかりやすく説明してくださっていたので、自分でネットとかの文献を闇雲に漁るよりも分かりやすくコンパクトにまとまっていてすごく良かった。出演者だからこそできることだなあ〜とても有り難かったです。

私が世界史学んでたのなんてウン十年前だもんな…笑 なんか塾講みたいな喋り方だな〜と思いながら観てたら、大音さんなんと塾講師の経験があるそうで笑 こんな講師いたら大人気になっちゃう…イケボだしイケメンだし…

 

観劇日

・7月18日 @福岡 キャナルシティ劇場(大千穐楽)

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(外観を撮り忘れるという凡ミス)
福岡在住でありながら、キャナルシティ劇場は初。むしろ場所も定かではないというボケボケな始末。

無印良品の隣に突然劇場の入り口あるのめっちゃ不思議…

一般で取ったA席なので2階の後方でしたが、傾斜がしっかりあったのでめちゃくちゃ観やすかったです。思っていたよりもコンパクトな劇場だった。

 

ミュージカル『スワンキング』公式|橋本良亮主演

さてスワンキング本編、思っていたよりも曲数が多かった。

ミュージカルってセリフ話してたと思ったらいきなり歌い出す、みたいなイメージあるけど、スワンキングはセリフよりも歌がメインだから、歌ってたと思ったらちょっとセリフ言う、くらいの割合。(私の体感ですが)

あと曲が耳に残る感じですごい良かったなあ。三官僚たちの「なーんたることっ♪」は観劇後の今でも歌いたくなっちゃうし、「トリスタンとイゾルデ〜♪」もめちゃくちゃ残ってる。サントラ出して欲しいくらい良曲揃いだった。キャラクターの心情もすごくわかりやすく伝わる楽曲たちだった。


ステージセットや場面転換も印象的でした。

ミュージカルや舞台でよくある、ステージが180°回転して場面転換する大掛かりな舞台装置ではなく、照明の色の変化やコントラスト、セットの位置をすこし移動する、などの最小限の変化で場面転換させる演出初めて見たんだけど、舞台装置の動きが最小限だと、ここまで物語に集中できるものなのか…!とすごく感動してしまった。(派手な動きする舞台装置もそれはそれですっげー!ってなるんだけど笑)

あと、それに伴ってなのか分からんけど、あの場ミリの数は初めて見た笑 もうステージの床でそういう柄みたいになってんの笑(ボルダリングの壁みたいな笑)

 


ストーリーの内容は、事前に予習していたこともあって分かりやすかったけど、ロシアとウクライナの情勢を、自国ではないにしてもほぼリアルタイムに目にすることの多い昨今、「武力ではなく芸術の力で国をひとつにする」と言うのがいかに理想論にすぎない絵空事なのかが、たまたまだろうけどこのタイミングで上演されることで実感を伴って理解できてしまうのがとても辛かった。

戦争をせずに、武器を持つことなく、誰の命も失うことなく、国や異なる民族がひとつになれるのならそれは素晴らしいことだと思うし、芸術にはそういう、"人をひとつにする力"を持っているとは本当に思うけど、たとえば私だって明日死ぬかもわからないような状況下で、ミュージカル観に行こうとか音楽聴こうとか思えるか?って考えたら…やっぱ思えないもんな。何言ってんだ?とか逃げてるだけでは?、って思われても仕方ないかも…って思っちゃった。

現代でも、有事の際には真っ先にエンターテイメントは不要不急だって言われてしまうのだから、当時の情勢からしたらとんでもないことだったんだろうということは想像に難くない。

 

18歳で即位して、40歳で亡くなるまでの話だけど、その間ルートヴィヒ2世は外見はもとより内面にもほとんど変化がないように見えた。夢見る少年のまま大人になったような…周りは出世したり、髭をたくわえたりして、見た目も言動も明らかに年齢を重ねて落ち着いたように見えたので、死の直前まで変わらず少年のように無垢で美しいままのルートヴィヒ2世はそういう意味でもずっと"異質"な感じだった。

ただ終盤にかけて表情は全然変わっていって、王になってすぐにワーグナーを呼び寄せた頃の、若々しくエネルギッシュで瞳にも光が宿っていた彼も、最後のほうは同じ曲を歌っていても瞳の光は消え失せ、その声にも哀愁の深みを感じた。橋本ルートヴィヒ…すげえな…

観劇前の「はっしー顔がいいし、きっとめっちゃカッコいいんだろうな〜!」なんて期待をゆうに超えてた。カッコいいなんてレベルどころじゃない…

事前に公開されていた冒頭5分の映像(太っ腹!)も観たけど、あの時よりも格段に歌が上手くなっててめちゃくちゃ驚いた。当たり前だけど、普段A.B.C-Zで歌ってる時と声の出し方が全然違うんだなあ。


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ワーグナー役の別所さんとの声の対比も良かった。別所さんの重厚な貫禄を感じる歌声と、はっしーの繊細で澄んだ中性的とも言える歌声。エリザベート役の夢咲さんとの歌声の重なりも心地よくて、耳が幸せってこういうことを言うんだなあと…。


特に印象に残っているのは、はっしーの"怒り"の演技です。激昂するとかいう感じではなくて、静かに湧く哀しみを帯びた怒り、みたいなのが表情と歌声にしっかり乗っていた。根底にずっと"理解されない寂しさ"とか"哀しさ""苦しさ"を纏っている感じがすごく表現されていたなあ。

(ルートヴィヒの両親のことや、生い立ちとか恋愛観とか、本編では明言されないようないろんなことをかなり研究して演技プラン立てたんだろうな…とすごく感じた)

カーテンコールでは「正直、辛かったです。周りの方はみんなプロの方ばかりで…その中で素人が主役なんていいのかなって…だから、もう、言っていいですか?ぼく、頑張りました!!!」とはっしーが言ってたけど、本当にすごかったよ…頑張ったよはっしー


あと衣装がとにかく素晴らしかった。主役ということもあって、はっしーはいちばんお着替えが多かったのだけど、全ての衣装がとても似合ってた!

冒頭と最後に着ていたドレープが贅沢に入った白の衣装、あれを着こなせる日本人ってほとんどいないと思うよ…笑

いちばん好きだったのは、鮮やかなロイヤルブルーの軍服?に真紅の豪華絢爛なマントを羽織ってたやつ。はっしーのマント捌き超素敵だった…重いだろうし、引きずるほど長いから踏んづけちゃいそうなのにすごいや。

 

 

カーテンコールでは、再演への意欲みたいなお話も聞けたし、ぜひ再演して欲しい。作品自体もそうだけど、何より素晴らしい楽曲たちがこれで終わりだなんて勿体なさすぎる!

出演者のみなさんともとても仲良さそうにしていて、雰囲気もすごくいい環境のなかではっしーはお芝居していたんだなあというのがよく分かったのですごく嬉しかったです。別所さんの力もかなり大きかった感じがしました。あんなに明るくて愉快でフランクな方なんだなあ…ハムの人のイメージしかなく…笑 すみませんでしたって感じだよ…

できることならまた同じキャストで再演できることを楽しみにしています!はっしー本当にお疲れ様!

 


(たまたまだけど大千穐楽の日が誕生日だった。とても良い一日になったよ、ありがとう国王様!)

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舞台『フォーティンブラス2022』観劇記録

観劇日

・6月4日(夜)@東京 自由劇場

・6月19日(夜)@大阪 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

・6月20日(大阪千秋楽)@同上

・6月30日(大千秋楽)@愛知 穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール

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2021年上演のものの再演です。キャストもほぼ同じ顔ぶれが再集結とのこと。私は前回の公演は観ていないので、今回が初観劇でした。

昨年と異なるのは、東京以外にも大阪・愛知の地方公演もあること。キャパを調べると、東京(500席)<愛知(796席)<大阪(1905席)とばらつきアリ。会場によって見え方・感じ方違うのかもな~とその部分でもめっちゃ楽しみでした。

てかまずもうメインビジュアルが大優勝すぎる…公開された瞬間、即スマホの待受けに設定して、公演期間中はずっとそれでした。最高すぎる。

戸塚祥太が内博貴につかみかかる「フォーティンブラス」ビジュアル解禁 - ステージナタリー

 

あらすじ

お馴染みの名作『ハムレット』が華やかに上演されている、とある古ぼけた劇場。その楽屋で、売れない役者・羽沢武年が、上演中だというのにヒマしている。彼の役は、ノルウェーの若き王子、フォーティンブラス。

役名は勇ましいが、最初の出番は、芝居が始まって約2時間15分後。それもただ舞台を通り過ぎるだけ。二番目の出番は全ての物語が決着を見た後。のこのこ登場し、最後のまとめをするだけの、いわば「刺身のツマ」。

その上ハムレット役の大スターは、横暴で、陰険で、勝手に芝居を変えるわ、若い女優に手を出そうとするわとタチの悪いことこの上ない。武年ばかりでなく、オズリック役で恵子の恋人である岸川和馬やオフィーリアに抜擢されたバラエティタレント刈谷ひろみさえも、そんな大スターに嫌気が差し、楽屋には一触即発の不穏な 空気が流れている。

そんなある夜、芝居のはねた劇場に、突然不気味な亡霊が姿を現す。亡霊は、自らを「フォーティンブラスの父」だと名乗り、そして武年に向かって言った。

“我が息子フォーティンブラスよ。さあ、今こそその汚れ亡き高潔な血を熱くたぎらせ剣を抜け。
そしてその剣に、ハムレットへの復讐を誓うのだ!!”


その言葉にとまどいながらも武年は、亡霊にハムレットへの、そして大スターへの復讐を誓うのだった。

しかし劇場付きの老女優、松村玉代は、亡霊の姿を見て驚いた。この男は、「フォーティンブラスの父」なんかじゃない。昔、玉代が一緒に芝居をしていた俳優の岸川和春……すなわち、オズリック役の岸川和馬の死んだ父親の亡霊だ……しかし何故今頃、和馬の父が亡霊となって、思い出の詰まったこの劇場に……??

果たして武年の復讐の行方は?

そして亡霊が寄せる、この舞台に対する想いとは?

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拍手のSEとともに幕が上がると、上演されているのは舞台『フォーティンブラス』の中の『ハムレット』。所謂劇中劇のシーンから始まる。

この作品で興味深いのは作品自体の構造だと思います。まず、”俳優が俳優を演じている”、さらに劇中劇が挿入されることで二重三重に折り重なって作品が成り立っているところ。つまり、”戸塚祥太演じる羽沢武年が演じるフォーティンブラス”であって、厳密に言うと戸塚祥太がフォーティンブラスを演じているわけではないところがおもしろいな~!と思った。

(逆に戸塚くんがフォーティンブラスを演じたらどうなるんだろう?っていう気持ちになった!たぶん出番めっちゃ少なくても羽沢みたいに腐ったりはしなさそう笑)

基本的に舞台裏や楽屋がメインのシーンとなるので、舞台の表側というより裏側を描いた作品です。

内くん演じる黒沢の暴君ぶりを表現するために、若い女優を性的に支配するシーンもあるのですが、演劇界(芸能界)におけるハラスメントの話はとてもセンシティブで、最近だとA.B.C-Zがかつて主演したドラマにも関係していたこともあり(本人たちはマジで全く関係ないのに!)、いろんな思いを巡らせてしまった。

(大阪千秋楽と愛知大千秋楽で太田垣が監督の実名出したの大丈夫か!?ってはなったw アドリブだったと思うし、たぶんワンモアのことは知らずに言ったんだろうけどヒヤリとしてしまった)

 

また、面白いのが、戸塚くんは台詞も出演シーンも多いので、間違いなく主演ではあるんだけど、この作品における”主役ではない"というところ。

スポットライトすら当たらない場面も随所に見られて、そこが面白いところだなあと。

私の解釈では主に2つのテーマがあると感じていて、ひとつは"父と子の物語"。こちらがメインテーマじゃないかな。

作中の岸川父子、フォーティンブラスの父子、そして作中では言及されてはいませんが劇中劇である『ハムレット』自体も亡き先王ハムレットハムレット王子、父子の物語です。

羽沢(戸塚くん)の父親の描写もありますが、劇中では一言だけ「俺の親父なら今頃〇〇(公演会場により土地名が変わる)でパチンコしてるよぉ!」という羽沢の台詞のみに登場していることから、羽沢父子は物語のテーマにはあてはまらない。("フォーティンブラスの父"も同じく『ハムレット』の台詞の中のみに出てくる、という対比がまた面白い)

ふたつめは"脇役(端役)の物語"。そもそもこの舞台のタイトルであるフォーティンブラスという人物の役柄は、舞台『ハムレット』の脇役ですから。劇中劇の『ハムレット』では主役の黒沢正美(内くん)も、この作品においては脇役に過ぎないんですよね。メインビジュアル張ってる2人が、実は父と子の物語における脇役でしかないってめっちゃおもろい。

でもテーマのひとつになっていると考えると、脇役のみんなも主役と言えるのかな?単純なようで複雑な構造になっているのがすごく興味深く感じました。

そんな中でも戸塚くんは座長として舵はしっかりと握っていて、羽沢の言動で物語が大きく動く瞬間がグッと来ました。(そこがスローモーションで表現されているのも憎い演出!と私は膝を打ちましたね…たぶんポスターのメインビジュアルってこのシーンの布石なのかな)

まあそのあと作中で実際に空気を変えるのは別の人(梅宮さん)なんですけどね…あくまで脇役の域から出ない羽沢くん、、、、、

 

 

私は全部で4公演観ましたが、最後まで"なぜ岸川父は亡霊となってまでこの舞台に現れたのか?"についてはずっと考え込んでしまいました。

結局岸川父は最後の最後まで"フォーティンブラスの父"という役として存在していた。途中「私は誰だ?」とわからなくなっても、主役ハムレットをやると言い張る横暴な俳優になっても、他の作品のセリフを吐いても、フォーティンブラスの父役を降りることは終ぞなかったし、ボロボロの衣装を脱ぐこともしなかった。

ここからは私の想像に過ぎないけど、岸川和春は父親としてはほとんど"生きてなかった"のかも知れないなあ、と。家庭を顧みず、芝居に没頭していたので、この世への心残りは主役を張ることはなかった舞台の上にのみあって、役を降りての実生活、衣装を脱いだ岸川和春としては、残してきた息子(和馬)や妻に対しての心残りや後悔なんてなかったのかもなあと。(何なら俳優人生の大半を共に費やした玉代に対しても)

それでも、最後にフォーティンブラスの父として、妻(玉代)にかけた言葉は、意図せずとも岸川和春のものだったのかなあ〜とか。知らんけど…

話は少しズレるけど、私の好きな俳優さんが、「自分は与えられる役の器であり、影のような存在でしかない」と言っていたことがあって、岸川父も同じように感じて生きていたのかも知れないなあと思いました。

私がいちばん印象に残っている台詞があって、それはフォーティンブラスの父(岸川和春)が、息子フォーティンブラス(羽沢)に言った、「その者がよく生きたかどうかは、何を成したかではない、どう生きたかなのだ 己の納得のいく生き方を全うできたのであればそれは誇り高く胸を張れることなのだ」というような台詞。

その言葉通りに岸川父が生きられていたとしたならば、やはり亡霊となってしまってまで現れるほどの遺恨が舞台や俳優という生き方には残らないってことになるよね。

でも誰に騙されたわけでも謀られたわけでもなく、役者として正々堂々と戦い、主役を担うことは叶わないまま脇役俳優に終わってしまった、父親らしいことなんて何もしていない父親でも、役柄のまま、役柄の言葉を借りてだったら結果的に息子の力になれたのだから、何とも皮肉なもんだなあ…

 

 

 

"人は皆役者"。

私も、私という役を今日も精一杯生きよう、と思えるとてもエネルギッシュな舞台でした。

東京公演は途中中止になってしまったけれど、大阪・愛知の地方公演は完走できたこと、このご時世においては奇跡みたいなもんだと思います。この作品に、舞台に出会えて良かったです。戸塚くん、ここまで連れてきてくれてありがとー!

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⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

 

以下は各観劇公演の変更部分記録です。私が感じた会場の雰囲気の違い、アドリブやハプニング含むレポのようなものを書き残しておきます。

 

【6月4日東京夜公演】

自由劇場は帝国劇場をもっとミニマムにした感じだな〜という印象。昔ながらの小劇場って感じで、フォーティンブラスの上演にいちばんぴったりだと思った。すごく素敵な会場。

座席は二階の前方で、せり出しの座席だったので位置的には一階席でいうと真ん中辺り?距離はそう感じなかったので双眼鏡使わず観劇。上から見下ろす感じだった。

 

・羽沢くんのデートプラン「スタバに行ってメロンのフラペチーノを飲む」

羽沢「フラペ、ッチーノ、飲みに行こう!」と明らかに言い慣れてない感じで言ってて可愛かった。

・羽沢「はい、父上♡」胸の前に両手でハートを作る

・信さんと刈谷ちゃんとのダンス「仮面舞踏会/少年隊」

・信さんの日替わりアングラアドリブで膝を床にぶつけてしまった信さんに

羽沢「膝大丈夫ですか(半笑い)」

ハムレットになる前「コメディオブ鬼滅の刃

刈谷ちゃんは禰󠄀豆子役、信さんは善逸役、玉代は鬼舞辻無惨役でのオファー。

・カーテンコールの曲「とっとこハム太郎

・梅宮さんの歌「谷村新司(曲名忘れた…昴かな…)」

・戸塚くん、何箇所かセリフを噛んでしまい、何回か言い直ししていた(意図せずとも小物感が出ていた笑)

 

【6月19日大阪夜公演】

梅田芸術劇場は今回の会場でいちばんキャパの大きな会場。すごく立派な会場だった…

4列目での観劇。近すぎて演者の飛沫まで見えたが、逆に近すぎて死角もあった。黒沢のバスローブがジバンシイなのを肉眼で確認。

 

・羽沢くんデートプラン「カットモデルに応募して、一緒の髪型にする」

信さん以外の人(羽沢くんや観客含め)が「なんやそれwww」となってて面白かった

・羽沢「はい父上♡」指ハート

・信さんと刈谷ちゃんとのダンス「Danceでバコーン!C-ute

戸塚くんがハロプロ楽曲踊るの見れるなんてレアすぎてめっちゃ興奮した

ハムレットになる前「コメディオブ世界のアーティスト」

刈谷ちゃんは五木ひろし役、信さんはジャクソン5役、玉代はマイケルジャクソン役でのオファー。

信さん「(玉代と)兄弟役だったのにねえ」

・カーテンコールの曲「おジャ魔女どれみ

演出家代理役の皆川が歴代のおジャ魔女どれみシリーズのタイトルを早口言葉みたいにぶわーっと羅列して観客席から拍手が起きる

・梅宮さんの歌「ボヘミアンラプソディ/Queen

・戸塚くん、セリフを噛んで言えなかった部分があったが、所謂コメディパートのところだったから叫んで誤魔化して、観客の笑いを誘っていた

・幕が降りるとき、戸塚くんが100%の笑顔で両手でバンザーイ!ってしてた

 

【6月20日大阪公演】

一般でA席を買ったので、ほんとにいちばん後ろの席だった。ただ、梅田芸術劇場の座席が傾斜のゆるやかなほとんどフラットに近い感じだったので、後ろの方だと目線が舞台上と同じくらいになってすごく観やすかった。

ただ距離はあったのでココ!というポイントは双眼鏡を使った。もう2回観てるのでどこで双眼鏡使うかも完璧だった。

 

・羽沢くんデートプラン「スタバに行って旬のフラペチーノ、今だったらメロンのやつ、を飲む」

・信さんと刈谷ちゃんとのダンス「ガラスの十代/光GENJI

ハムレットになる前「コメディオブゲゲゲの鬼太郎

刈谷ちゃんは子泣き爺役、信さんは一旦木綿と鼠小僧の二役、玉代砂かけ婆役でのオファー。

・カーテンコールの曲「とっとこハム太郎

・梅宮さんの歌「We are the champions/Queen

・大阪千秋楽だったのでカーテンコールで挨拶あり。

戸塚「大阪といえば内博貴内博貴といえば大阪!凱旋公演の意味もありますからね」

内「僕もお客さんと同じですよ、袖でめっちゃ笑ってるんです。袖で笑って、舞台で暴れる、っていう…笑」

戸塚「ここにいる皆さんもキャストですから!」

内「あとで楽屋でLINE交換しよ」

戸塚「LINEグループ作りますか!…ってイヤイヤ笑」

内くんの肩を抱いたり、ノリツッコミしたりととっても仲の良い様子が伺えてほっこり。

 

戸塚「大阪で頂いたパワーを持って、次の名古屋…愛知公演に行きますので!お友達とか…その…ねっ!誘って頂いて…(ちょっと言い淀んで)もうみんな来ちゃえばいいですよ!(何かを諦めたらしいw)」

豊橋を名古屋と言ってしまったの可愛かった笑 気持ちめっちゃわかる

愛知公演も来てねでいいのに、ご時世を考えてなのか、遠征費かかるとかチケット代とかそういうのを考えてのことなのか、はっきり来てねって言わない戸塚くん…らぶ、、、、

・幕が降りるとき、右手を胸に当てて満足そうな微笑みを浮かべる戸塚くん。

 

【6月30日愛知公演】

駅直結の綺麗な会場!座席もコンパクトで観やすい。一般で買った席だったので後ろから2列目。念願の下手だったので観たいシーンが目の前で(双眼鏡補正アリ)観られて大満足。

 

・羽沢くんデートプラン「H&Mに行って、古着を売ってサスティナブル野郎ぶる」

・羽沢「はい、父上♡」ギャルピ

・不真面目フォーちゃんアイメイク、左目のみに黒のアイシャドウで囲うメイク。

(噂には聞いていたが、クレイジーアイメイク回に初めて遭遇!)

・信さんと刈谷ちゃんとのダンス「頑張れ、友よ!/A.B.C-Z

信さん「Twitter開設っ」合いの手。(ありがとうございます!)

ハムレットになる前「コメディオブハリーポッター

刈谷ちゃんはハグリッド役、信さんはロンウィーズリー役、玉代はヴォルデモート役でのオファー。

刈谷ちゃんのハグリッド役、逆に観てえわ

・カーテンコールの曲「とっとこハム太郎

個人的にはおジャ魔女どれみver.がもっかい見たかった…!笑

・梅宮さんの歌「We are the champions/Queen

・大千秋楽ということでカーテンコールでご挨拶あり。劇中ではダニエルによる役者紹介が全員分行われませんでしたが、ここではステージ上の俳優さん全員が紹介されました(この展開、めっちゃ胸熱!)。

1人1人紹介される度に、「フウッ!」「ヨッ!」などとおっさんみたいな合いの手を入れる戸塚くん笑

どさくさに紛れて歳上の俳優さんにも下の名前呼び捨てで合いの手入れててウケた笑 共演者さんたちとの仲の良さが伺えて良かった。

いざ自分の番になると顔を両手で覆って恥ずかしそうに前に出てくる戸塚くんがちょーーーー可愛かった!

 

戸塚「この作品、お客さんもかなり集中力使うと思います。疲れたと思います。みなさんも、キャストです!キャストの一員として、僕たちから、拍手を贈らせてください!」

〜キャストのみなさんが客席に向かって拍手をしてくださる〜

(私、泣いちゃう泣)

その後、客席からも自然と拍手が起こり、拍手をし合う私たち。こんなんラブ&ピースじゃん…

 

戸塚「拍手が鳴り止まないので…(内くんに挨拶を促す)」

内「僕ですか!?じゃあ…この場を借りて、みなさんにお詫びしたいことが…ステージ上での罵詈雑言、本当、すみませんでした!(岸川役の桑野さんに向かって)殴ったりして、ごめんなあ!普段はあんなんせえへんねんで?明日からは、愛に生きる内博貴でいきます!(胸の前でハート♡)」

戸塚「演劇の長い歴史の中では、この作品はほんのちょっと、ほんのちょっとのことなんでしょうけれど、僕たちの、みなさんの、心の中にはしっかりと刻み込まれたと思います。演劇の神様が、降りてきてくれましたよ!本当に、ありがとうございました!」

最後の一言まで、噛み締めるようにしっかりはっきり戸塚くんが伝えてくれた。めっちゃglだった!

幕が降りるとき、戸塚くんの背中を労うようにポンポンと叩いた内くんを、戸塚くんがそのままグッとハグしたのたまらなかったなあ。熱い!

 

 

六本木歌舞伎2022『ハナゾチル』レポ

六本木歌舞伎2022『ハナゾチル』

観劇日

・2月19日 東京公演2日目(昼)@EXシアター六本木

・3月11日 福岡公演初日@福岡サンパレスホール

 


★戸塚くん出演場面(各演目は公演パンフレットより引用)


会場入って、ステージ見た瞬間めちゃくちゃビックリした。「えっ?私これから観るの歌舞伎よな??」ってなった。

どこかの雑居ビルの屋上のようなセットで、背景にはビル群の夜景。ジャニーズウェブショップのトップページが思い浮かんだ。これから歌舞伎が始まるとは思えないくらいとても現代的!

下手側には短い花道のようなものがあり、花道のすぐ横に家紋みたいなものが描かれた白い暖簾が掛かっている。

 


【博物館】★

幕が上がり、最初に出てきたのは6弦ベースを携えたBOHさん。スキンヘッドに全身黒のお着物でばりイカちー!笑 会場にバキバキに響く低音がむちゃくちゃカッコいい!そしてやっぱり歌舞伎が始まるとはまだ思えない笑


BOHさんのベース音に合わせて、下手側の暖簾から突如として現れた戸塚くん(初観劇時の東京公演、私は下手側の座席だったので、まさかあそこからいきなり出てくるとは思ってなかったから、驚きすぎてちょっと声出そうになったw)、

青いスカジャンに黒いニット帽。指が出たレザーの手袋(DAIGO的なやつ)、黒スキニーの尻ポケットから黒い有線のイヤフォンが伸びていて、それを両耳に突っ込んでいる。たぶん音楽を聴いているという設定なのかな?(バク転したあとに絡まったりしていてちょっと扱いが大変そう、というか正直ちょっと邪魔そう…なのもあってか、福岡公演ではなくなっていた)

ノリノリでステージの真ん中へ。パルクールよろしくバク転したり、ベース音に合わせて踊ったり。

(この部分は戸塚くんの自由演技のようで、日によって表現が全然違ったみたい。福岡公演ではニット帽を首まで被って踊るので、顔が見えなくなってしまっていた)

 


しばらくすると、戸塚くんを逮捕しに来る刑事たち。戸塚くんは"弁天小僧"を名乗る泥棒で、博物館から盗みをはたらいたらしい。

屋上ギリギリまで追い詰められた戸塚くんは、どこからともなく聞こえる、姿の見えない何者かに「倅よ…」と呼ばれる。「来ればわかる」と言われ、言われるがままに博物館の屋上から飛び降りる…

 


【初瀬寺】★

場面は変わり、お寺の境内のようなセットに。着物を着た町人たちが談笑している。

鐘の音が鳴る中、左腕を痛そうに押さえた戸塚くんがよろよろと登場。

さっきまでいた場所と景色が全く違うので戸惑うが、「ひょっとして…ここは江戸時代!?もしかしてタイムリープしたのか!?」「こりゃあいい!つまらねえ世界から抜け出したいと思ってたんだ!」と開き直った様子。

町人たちとも鉢合わせするが、この時代の人たちからすると戸塚くんの格好はあまりにも妙なので、目を合わせちゃいけない!と足早にその場を立ち去ってしまう。

(ここの町人たちの反応がおもしろおかしく表現されていて、思わず笑ってしまった。歌舞伎って笑い声上げてもいいんだなあ、というか、ガチガチに真面目なのかと思ってたけど笑いどころもあるらしい、とここで感じた)

そこへ、「これ宗之助。突然いなくなったと思ったら、こんなところで何をやっているんだ?…なんだその、イカれた格好は…?」「お前誰だ?」「何を言うておるんだ、わしはお前の父じゃあないか。早く家へ帰ろう」言われるがままに、その父と名乗る男に連れられはけていく戸塚くん。

 


【浜松屋見世先】

舞台は呉服屋さんのセットに変わり、店員さんたちが慌ただしくお店の準備をしている。

そこへ身なりの良い立派なお侍さんが客として訪ねてくる。より良い品を案内するとのことで、浜松屋の店主(戸塚くんを連れて行ったお父さん)が出てきて、さらに奥の座敷とお侍さんを連れ立って行く。

すると、今度はお店に美しい振袖を着たお姫様と、その家来が訪ねてくる。このたび結婚をされるということで、嫁入りの準備をしに来たとのこと。

店員さんがお着物や帯などの装飾品を多数持ってきて接客していると、どさくさに紛れてお姫様が万引きを働く。店員総出で問い詰めるも、これは店員の勘違いで、濡れ衣であった。揉み合った際に、お姫様の額には傷ができてしまったこともあり、家来が慰謝料を請求するも、一行は金額で揉め始める。

そこへ奥の座敷から様子を見ていたお侍さんが現れ、お姫様の正体を見破る。お姫様の袖からチラッと見えた桜の刺青を証拠に、お前の正体はお姫様ではなく男だろうと問い詰める。

お姫様は実は女装をした弁天小僧菊之助(海老蔵さん)、家来に扮していたのは不良仲間の南郷力丸。2人して変装をして呉服屋を強請ろうという魂胆であったことが一同にばれてしまう。

正体がばれて開き直った弁天小僧の「知らざあ言って聞かせやしょう」から始まる名台詞もここで。

店主は2人にいくらか金を持たせ、2度と来るなと追い返す。

 


【浜松屋蔵前】★

呉服屋の奥の座敷(蔵)にセットが変わる。店主はお侍さんに先程の礼を述べている。

そこへまた弁天小僧と南郷力丸が今度は刀を持って押し入ってくる。実はこのお侍さん、正体は日本駄右衛門であり、この2人の親分であった。真の目的は蔵の金目のものをすべて盗むため。日本駄右衛門の手引きによって、蔵に侵入した一行はまたも店主を脅しにかかる。

脅された店主は、過去に子どもを取り違えたことがあり、自分の本当の子ではない宗之助を今日まで育ててきたと告白し、実の親に申し訳が立たないため、宗之助のことは助けてくれと懇願する。

その話を聞いて顔色の変わった日本駄右衛門。その取り違えた息子は彼と同じ痣を持つ子だと判明する。宗之助は日本駄右衛門の息子だったのだ。

本当の息子には御守りを持たせていたと話す店主。話をそばで聞いていた弁天小僧は、「もしかして…」と自分の持っていた御守りを店主に見せる。御守りはまさに店主が息子に持たせたものであり、弁天小僧は浜松屋の店主の本当の息子であることが同時に判明する。

実の父親の店に盗みに入ったことを反省していると、彼らの仲間が来て、3人に追手が迫っていることを伝える。弁天小僧は店主に別れを告げ、南郷力丸とともに店を後にする。

そこへ襖のそばですべての話を聞いていた宗之助(戸塚くん)が現れ、

「屋上で私を呼んだのはあなたの声だったんですね…」

本当の父親である日本駄右衛門と対面する。すっかり現代の格好(スカジャンにスキニー)ではなくなっていて、薄い水色のお着物に白塗り、髷を結っている。(めちゃくちゃ美しい…)すっかりこの時代に染まり、人が変わったようになっている。

感動の再会を果たすも、日本駄右衛門には追手が迫っていて、時間がない。育ての父を大事にするようにと言い残して去ろうとする日本駄右衛門に、宗之助は店主から預かった着物を手渡し、別れる。

 


○第二幕○

【稲瀬川勢揃】

桜並木が綺麗な川沿いのセットに。

下手の暖簾から、"白ら波"の文字が書かれた唐傘が1つ1つ順番に開かれ、弁天小僧菊之助・南郷力丸・忠信利平・赤星十三郎・日本駄右衛門の白浪五人男が1人ずつ舞台に上がり、七五調の口上で名乗りをあげる。身に付けているお揃いの着物は宗之助が日本駄右衛門に手渡したもの。

(ここかなり独特の台詞回しだったのでめちゃくちゃ難しかった…ので完全には理解できなかったけど、五人男の迫力にすごく圧倒されました)

五人男と彼らを捕まえに来た追手との大立ち回り。

 

 

 

極楽寺塀外】

極楽寺大屋根】★

お寺の立派な屋根上のセット。かなり豪華で目を惹く朱の門。ここがクライマックスなんだな、と一目で分かる。

実の父親や、白浪五人男たちの生き様とその絆に胸を打たれた宗之助(戸塚くん)。「来れば分かる」と言っていた父の言葉の意味を噛み締め、目には涙が浮かぶ。

(福岡公演では防振の双眼鏡を持って行ったので、戸塚くんの瞳が潤む瞬間も観れた、双眼鏡は、神!)

この時代にタイムリープをしてきて、つまらない現代を抜け出して好き勝手してやろうと思っていた自分をかえりみて、自分自身と向き合い、現代へ戻る決意をする。そしてまた来た時と同じように、今度は極楽寺の屋根から飛び降りる。

 


宗之助(戸塚くん)の姿と重なるように弁天小僧菊之助(海老蔵さん)が追手との派手な大立ち回りを見せる。そこへ現代へと戻った戸塚くん(格好もお着物からスカジャンへ変わっている)も現れ、警察たちと華麗な立ち回り。ここで現代と過去がパラレルワールドのように重なる。

(ツケ打ちやお囃子と、ベースの音が重なって、音楽も一緒に現代と過去が混ざり合うという演出。めっちゃすごい)

降り注ぐ桜吹雪の中、ふたりは同じ空を見上げる…

〜終演〜

 

 

 

★★★★★


カーテンコール、私が観た東京公演は2回ほど。海老蔵さんに促され、「えっ!いいんですか…?」って感じでセンターでベースラインに合わせてZa ABC〜5stars〜のサビを控えめながらニコニコと踊る戸塚くん。

次に観た福岡公演は5回くらいあって笑 戸塚くんはもう東京公演で何度もやってきたであろうZa ABC〜を堂々と。中村児太郎さんや市川九團次さんも、ざえびを披露したり、ムーンウォークを披露したりと、チームとしてもとてもいい雰囲気なのがカーテンコールでとてもよく分かった。(各地で数回、公演を観る醍醐味ってここにあるよなあ〜舞台の面白さ!)

戸塚くんは難しいであろう古典芸能の世界に飛び込んで、大変だったのは想像に難くないけど、公演を重ねるごとに伸び伸びと演じられているのがとてもよく分かりました。舞台を降りたら可愛がられてるんだろうな〜というのも垣間見えて良かった。大千穐楽までいけなくて残念だったなあ。